第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#1
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【1】
雲一つない空。
その淀みのない蒼天が、彼方への航路を創っているかのように。
ソレを背景に高々と聳える、貫を侘びた注連縄で飾られた一基の 「鳥居」
元来、神々の神域と人間が住む俗界とを割かつ “結界” を意味するモノだが、
今現在その伝承が 『現実』 のモノと成っているコトを認識出来る者はごく僅かだった。
「おしまいッ!」
清廉な掛け声と共に赤い鳥居の最上部から小さな影が一つ、
滑空の気流を纏わせながらその 「内」 に舞い降りる。
目測で有に10メートルを超す高度から飛び降りてきたその影は、
そんなコト意に介さず片手を石畳の上に付き、
片膝を曲げもう一方は鋭角に延ばして落下衝撃を分散、着地する。
膝下まで届く、まるで極上の絹糸のように細く艶やかな黒髪が
気流によって吹き上がり、やがて重力の恩恵を受け軽やかに空間を撫ぜる。
継いで種々なる花々の香りも舞い踊った。
「……」
顔を上げたのは凛々しい視線の、全身、黒尽くめの少女。
上着も、ズボンも、ベルトも、靴も(流石に下着までとは云わなグゴォッ!)
その頭部までもプラチナ・プレートの嵌め込まれた
黒いレザーキャップを被っている。
「終わったのか?」
その黒き少女の傍らに、彼女と同じようなデザインの
学帽を被った青年が歩み寄る。
見上げる程の長身。
中世芸術彫刻のように、美しく均整のとれた体躯。
その身を包む、マキシコートのように裾が長い学生服の腰に
革のベルトが二連、交叉して巻き付いている。
何よりもその筆舌に尽くし難い、威風颯爽足る美貌。
形の良い耳元で、プラチナのピアスが煌めいている。
「ええ。たったいま、この神社周辺区域の “因果” を
その 「連続」 から切り離したわ」
薫り慣れた芳香が、少女の鼻孔を擽 った。
「これでもう普通の人間が此処を 「認識」 するコトはまず不可能だし、
フレイムヘイズや紅世の徒からも “視えにくくなってる”
まぁ “封絶” の応用ね」
「おい? ソレじゃあよ」
訝 しむその青年に少女は “最後まで聞きなさい” と
開いた右手で彼を制する。
「その 『逆』 は話が別。外の異変は感じ取れるように
ちゃんと 「隙間」 は空けてある。
まぁ私の経験上 “無い” とは想うけど、
“徒” の存在を感知したら教えるから安心なさい “承太郎” 」
こちらの心情を見透かしたかのように話す黒髪の少女に、
“承太郎” と呼ばれた青年は学帽の鍔で目元を覆いながら返す。
「フン……オレが心配してンのは、「後処理」 のコトだぜ。
『スタンド』 でさんざっぱら暴れ回ったはいいが、
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