88部分:第八十七話
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第八十七話
第八十七話 遊び人
赤音の姉である葵は遊び人だ。いつも学校から帰ってはラフな服に着替え遊びに行く。勉強なんかはそっちのけで遊んでばかりいる。けれど両親が五月蝿くないので特に問題にはなっていない。
「けれどねえ」
それでも妹としては問題であった。
「お姉ちゃん大丈夫なのかな、あれで」
時々そう思う。
「遊んでばっかりで。危なくないかなあ」
「心配なの?」
使い魔である兎のジップが尋ねる。
「まあね。やっぱりほら」
「妹だからってわけだね」
「そういうこと。やっぱりわかる?」
もう一匹の使い魔であるハムスターのハリーにも答えた。
「どんな人と遊んでるのか。危なくないかって」
「それが心配なんだね」
「そうなのよ。何時かえらいことになるんじゃないかって思ってるのよ」
姉を心配する顔で言う。
「お姉ちゃん魔法も使えないし。何かあったら」
「それじゃあ一回見てみたら?」
「見てみるって?」
ジップの言葉に反応して顔を向ける。
「そう、どんな遊びしてるか調べてみるのよ」
ジップはそう主に対して述べた。
「どうかな。それだと何してるのかわかって安心できるよね」
「確かに」
「御主人も安心できるしお姉ちゃんにも何かあったら対処できる。悪いことはないね」
ハリーもそれに賛成した。
「それじゃあ決まりね」
「うん」
主より先に使い魔達が頷き合った。
「一度葵さんの遊びをつけてみようよ」
「つけるの?それはねえ」
だが赤音はそれにはあまり乗り気ではなかった。人をつけるという行為に抵抗があったのだ。
「ちょっと・・・・・・と思うけど」
「じゃあどうすればいいのさ」
ハリーが顔を見上げて問う。
「それしかないよ」
「けど」
「御主人様、ハリーの言う通りよ」
ジップも言ってきた。
「ここはやっぱり後を付けるしか」
「ないのね、やっぱり」
「うん。覚悟を決めて」
「行くしかないよ」
「わかったわ。それじゃあそれで行くわ」
赤音も仕方なしながら頷いた。
「明日お姉ちゃんが帰って来たら」
「うん」
「行きましょう」
こうして明日赤音と二匹の使い魔達は葵の遊びについて調べることになった。とりあえずこの日はそれへの準備で終わったのであった。
「どうなるのかな」
第八十七話 完
2006・2・6
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