暁 〜小説投稿サイト〜
とある科学の裏側世界(リバースワールド)
remember memory
ep.0001 remember memory 池野&箱部 中編
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ーある日のこと
池野はその日も任務に就いていた。
今回のターゲットはとある名門家の"池野健二(いけのけんじ)"という人物だった。
アナコンダは殺し屋たちの集団なだけで、相手を殺す理由は"それが仕事だから"という単純なものが多い。
つまり、「頼まれたから殺す」その理念のもとで暗殺を繰り返していた。

池野はいつもの手順であっさりと建物の中へ侵入した。
建物の中を歩き回っていると、お世話人らしき人物を遠くに発見した。
池野は少しだけ近付いて銃を取り出すと、お世話人らしき人物の頭を撃ち抜いた。
銃の先端にはサイレンサーが付いているので銃声はまったく響かない。
相手は額から放射線状に血を飛び散らせ、糸の切れた人形のように倒れた。
その後も池野は、建物の中にいる人という人を次々と片付けて行った。
そして、家主がいる寝室を発見した。
ゆっくりドアを開けると、家主は起きていた。

「おや、こんな時間に来客かね?」

見たところ、40代くらいの男だった。
男は大量の血で汚れている池野を見ても、一切の動揺をしなかった。
どころか、ゆっくりと目蓋を閉じ、池野に近付くと銃口を自らの額に当てた。

「どうして.....あなたは"死"の恐怖を感じないのですか?」

池野は男に聞いた。
これまで池野が殺してきたほとんどの人が死ぬ最後の瞬間まで命乞いをしていた。
誰しも死にたくないのは当たり前のことだ。
だからこそ、この男には聞きたくなったのだ。

「死の恐怖か.....。」

男はまた開いた目を閉じると、語り出した。

「感じないことはない。今だって死ぬことは怖いよ。」

その答えに池野は少しがっかりする。

「人には寿命がある。
君が手をくださなくても、私は必ず死んでしまう。」

当然だ。

「人は生きていく上で、他の命を糧にして生きていかなければならない。君の今日を生きるための糧が私であるようにね。」

池野はきょとんとした態度で聞いていたが、男に話し掛けた。

「気が付けば組織に入っていました。
気が付けばボスから人の殺し方を教わっていました。
気が付けば朝、顔を洗うように武器の手入れをしていました。」

池野はなぜ人を殺すのかが分からなくなっていた。
物心ついた頃から人を殺し続け、それが日常になっていたからだ。
そんな池野の言葉に男は最期のまとめを言った。

「今まだ分からないだけだがいずれわかることだ。
君にもいつか自分の生に意味を与えてくれる人に出会うことになるだろう。」

そして一拍、間を開けて言った。

「その人に出会えたら、君の人を殺す力を守る力として使うことを今日死んでしまう私と、君が殺してきた人々に誓いなさい。」

男の言葉に池野は「はい」と返事
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