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魔女に乾杯!
87部分:第八十六話

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第八十六話

                第八十六話   努力の結果
 一月後彼等は体重計の前にいた。そしてそれをじっと見下ろす。
「まずはおいらからだな」
「うん」
 最初にライゾウが乗る。すると五百グラム減っていた。
「あまり減っていないような」
「猫だとかなり減っているんだよ」
 ライゾウはムッとして反論する。
「だから犬と猫じゃ大きさが違うじゃないか」
「それもそうだったね」
「何かダイエットしてからこんな話ばっかりしてるなあ」
 ライゾウはムッとしたまま言う。そして今度は肝心のタロであった。
「次は僕だね」
「早く乗りな」
「うん、それじゃあ」
 タロは体重計に乗った。デジタルが音もなく動く。その結果はすぐにわかった。
「減ってるな」
「うん」
 タロは出て来た数値を見て満足気に頷いた。
「二キロも」
「かなり減ったな」
「頑張ったかいがあったね」
「確かになあ。旦那、おいらから見てもかなり動いてたし」
「うん」
「食べる量も減らしてたし。頑張ってたと思うよ」
「その結果が出たということだね」
「そうだな。よく頑張ったよ」
「ライゾウもね」
「いやいや、おいらなんか」
 だがそれには謙遜してみせた。
「あんまり。旦那と比べたら」
「それでも痩せたじゃないか」
「まあ一応は。じゃあそれでよしとするか」
「そうそう」
 二匹はそう言い合って笑った。これで結果は出た。
 華奈子は二匹を見てふと気付いた。そして言った。
「痩せたわね」
「そうかな」
 ライゾウが得意気なのを隠して顔を向ける。
「うん、タロが」
「あらら」 
 自分ではなくタロに注目されてずっこけてしまった。
「かなり痩せたわね。ダイエットしたの?」
「いや、まあ」
「隠さなくたっていいって。見ればわかるから」
 華奈子はにこりと笑って使い魔にそう返す。
「頑張ったわね、お疲れさん」
 華奈子はタロを褒めた。そして次にライゾウに顔を向けて言った。
「あんたも頑張りなさいよ」
「おいらも痩せたんだけれどなあ」
 今一つ腑に落ちないライゾウであった。


第八十六話   完


               2006・1・28



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