第四章
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「家の中でお茶でも飲みながら話そうか」
「あっ、お家の中でですか」
「そこで、ですか」
「うむ、お菓子もあるぞ」
老人はこちらも話に出した。
「飲んで食べながらゆっくりと話さぬか」
「いいんですか、お茶って」
「しかもお菓子まで」
「よいよい、ではゆっくりと話そう」
こう言ってだ、源田は美稀と晴香を家の中に入れた。家はよく掃除されていて実に清潔だ。二人が案内されたのは一階の応接間、畳の部屋だった。
そこの大きなちゃぶ台の前に二人は並んで座った、その二人と自分自身にだ。
源田はお茶をお菓子の羊羹、皿の上に置かれたそれを出してだ。二人の向かい側に座ってそうして話をはじめた。
まずだ、源田は二人にこう話した。
「最近人間のお客さんはおらんかった」
「人間の?」
「といいますと」
「あれは婆さんが死んで四十九日が終わってからか」
源田はいぶかしむ二人に遠い目になって話した。
「一人になって寂しくこれからどうなるかと思っておった」
「長年連れ添ってきた奥さんがいなくなって」
「それで」
「うむ、それで朝から晩まで一人庭の縁側に座ってぼうっとしておってばかりだったが」
「それがですか」
「変わったんですか」
「ふとじゃ、庭に一人来た」
そうしたというのだ。
「空き家だと思ってたと言ってきてな」
「そこまで気配が消えてたんですか」
「お爺さんから」
「ただぼうっとしておっただけだったからな」
その時の源田はというのだ。
「気配もなくなっておった」
「そうだったんですか」
「その頃のお爺さんは」
「そしてある坊主が来たが」
その坊主はというと。
「見れば昔の寺の小僧の格好で目は一つじゃった」
「それって」
「そうよね」
その小僧の姿形を聞いてだ、二人は顔を見合わせた。そのうえでこう話した。
「一つ目小僧?」
「妖怪の」
「それよね」
「どう聞いても」
「そう言っておった」
その小僧自身もというのだ。
「本人がな」
「そうなんですか」
「妖怪さんの方で」
「うむ、驚いたじゃろ」
「というか信じられないです」
「ちょっと以上に」
二人は源田に顔を曇らせて答えた。
「うちの学園そうしたお話多いですけれど」
「それこそ百はある位ですけれど」
「けれど現実にあるなんて」
「信じられんのも当然じゃな」
源田はその二人に笑って述べた。
「この話が」
「ですか」
「私達のこの反応も」
「うむ、わしも最初見て何だと思った」
その一つ目小僧をというのだ。
「本当におったのかとな」
「妖怪さんがですね」
「実際に」
「しかし本当におった」
会ったからにはこう言うしかないというのだ。
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