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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十四話 哀しみは優しさを誘う……
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らしい。愚かな……。
「皆さん顔色が悪いですね。御気分が優れませんか? せっかくの親睦パーティなのです。もう少しお付き合いいただきたいですね」
周囲の青い顔を見ながらヴァレンシュタインがいかにも心配するような口調と表情で声をかけた。
父親たちの様子が変わった事に気付いたようだ。令嬢たちは不安そうに男たちの顔を見ている。そんな彼らを見ながら、ヴァレンシュタインはブラウンシュバイク公に笑顔で話しかけた。
「ブラウンシュバイク公、フロイラインとダンスをしたいのですが、お許しいただけますか?」
「!」
穏やかに発せられたヴァレンシュタインの言葉に周囲が緊張した。貴族達は顔面を強張らせてブラウンシュバイク公を見た。ブラウンシュバイク公も彼らの視線を感じているだろう。
しかし公は厳しい表情でヴァレンシュタインをじっと見ている。心配になったのだろう。ロイエンタール、ミッターマイヤー達が少しずつ、ゆっくりとだがこちらに近づいて来た。
「エリザベートと踊りたいというのか?」
「はい」
ヴァレンシュタインは穏やかな笑みを浮かべながらブラウンシュバイク公の視線を受け止めている。緊張など微塵も感じられない姿だ。それなのに空気が痛いほど緊迫している、耐え難いほどだ。
ヴァレンシュタインの背後に艦隊司令官達が集まった。皆厳しい表情をしている。貴族たちの表情は青褪める一方だ。ヴァレンシュタインはマントの襟元を直しながらブラウンシュバイク公に話しかけた。
「やはりお許しはいただけませんか」
「そうではない」
ブラウンシュバイク公は少し考えると部下と視線を合わせ微かに頷いた。部下たちも公に頷き返す。
「エリザベート、どうかな、元帥がお前にダンスを申し込んでいるが」
ブラウンシュバイク公の言葉にエリザベート・フォン・ブラウンシュバイクは少し頬を染めて
「喜んで」
と答えると、ヴァレンシュタインに向かって歩を進めた。
帝国暦 487年10月 4日 オーディン ブラウンシュバイク公爵邸 エリザベート・フォン・ブラウンシュバイク
ヴァレンシュタイン元帥とダンスを踊る。まさか本当に踊る事になると思わなかった。夢を見ているような気持ちだ。他の皆も艦隊司令官達と踊っている。私達が踊っているので、皆も許されたようだ。皆踊りたがっていたから喜んでいると思う。
親睦パーティが開かれる、ヴァレンシュタイン元帥がいらっしゃる、そう聞いたときは本当に嬉しかった。絶対に元帥と踊る、そう思ったのにお父様は駄目の一点張りで許してくれない。
代わりにローエングラム伯となら踊っても良いと言われたけど、正直余り嬉しくなかった。ローエングラム伯はとっても美男子で素敵だけれど、少し怖い感じがする。
女の子の中にはそん
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