暁 〜小説投稿サイト〜
ヒトデ
第五章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後
「ですから」
「それで、ですか」
「そうしたことをしてはならない」
「そこまではですね」
「やらないことですね」
「そのことは守って下さいね」
 ヒトデを退治するにしてもというのだ。
「宜しくお願いします」
「わかりました、それじゃあ」
「そうしたことにも気をつけて」
「それで駆除していきます」
「魚や珊瑚を守ります」
「そうしていきます」
 村人達は大村に約束した、そして彼の言う通りにヒトデを程々に、減り過ぎないまでに捕まえてそのうえでだ。
 干したり焼いたり煮たりしてだ、退治していった。すると。
 大村が次に村に来た時にだ、笑顔でこう言えた。
「いや、減りました」
「養殖場を荒らされなくなりましたよ」
「漁の場所も」
「珊瑚礁のオニヒトデも減りました」
「それは何よりです、それでですね」
 村人達の話を聞いてだ、大村はさらに尋ねた。
「絶滅はしていませんね」
「そこまではです」
「先生が教えてくれた通り徹底的にはしていません」
「ある程度で止めています」
「絶滅はさせていません」
「そうです、問題はあくまで適量なのです」
 ヒトデの数にしてもというのだ、魚や珊瑚に害を及ぼす彼等の場合も。
「多き過ぎず少な過ぎず」
「適度ですね」
「それだけであればいいんですね」
「退治の仕方も問題で」
「そして数もですね」
「そうしたことをわかっておかないとです」 
 それこそとだ、大村は村人達に話した。
「かえって大変なことになります」
「逆に増えたり生態系が崩れたり」
「そしてもっと酷いことになるんですね」
「ちゃんと考えて、知識を備えておかないと」
「そういうことですね」
「そうです、ヒトデも生きものですから」 
 だからこそというのだ。
「ヒトデに合った対処があって」
「絶滅までさせてはいけない」
「それはかえって駄目なことですね」
「自然全体にとって」
「ヒトデも自然の中にいますから」
 例え彼等が海を荒らしてもだ。
「もっと言えば人間もですね」
「だから極端はよくなんですね」
「わし等にしても」
「自然の中にいるから」
「だから」
「そうです、それではここにまた来させてもらいましたし」
 ここまで話してだ、大村は笑顔になってだ。村人達にこうも言った。
「海の幸をご馳走になりたいですが」
「はい、じゃあ今からです」
「お酒も出します」
「珊瑚礁もご覧になって下さい」
「どれも楽しんで下さい」
「そうさせてもらいます、前に来た時はそういうことは忘れていたので」
 退治の仕方や生態系のことを村人達に説明することに夢中になっていてだ。
「今回は宜しくお願いします」
「ですね、じゃあ新鮮な海の幸をどうぞ」
「刺身もあるし天麩羅もありますし」
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ