第一章
[2]次話
ヒトデ
その漁村には悩みがった、魚は多く獲れ見事な養殖場もある。しかも海を少し行けば見事な珊瑚礁もあり観光客も期待出来た。
しかしだ、村人達は今は常に眉を顰めさせていた。その悩みはというと。
「またか」
「ああ、まただ」
「ヒトデが養殖場に出たぞ」
「漁の場にも出てるぞ」
「珊瑚礁にはオニヒトデがいるぞ」
「ヒトデがやけに出るな」
魚を食い珊瑚礁を荒らすヒトデ達にだ、彼等は悩んでいるのだ。
それでヒトデを捕まえるとだ、片っ端からだった。
捕まえてそうしてブツ切りにして殺して海に捨てていた、だが。
「退治してもな」
「減らないな」
「俺達相当殺してるな」
「ああ、毎日な」
「見付けたら殺してるぞ」
そのヒトデをというのだ。
「相当にな」
「村人全員でな」
「それでどうして全然減らないんだ」
「それどころか増えているぞ」
「倍かそれ以上な」
「どんどん増えていってるぞ」
「どういうことなんだ」
首を傾げさせて言う、だが。
「これは一体」
「異常発生か?」
「何かあるのか」
「このままだとな」
「ヒトデに漁場が荒らされ続けるぞ」
「養殖場も珊瑚礁もな」
「村はどうなるんだ」
「ヒトデにやられるぞ」
多くの者がだ、苦々しい顔で言った。その村にだ。
ある老人が観光客として来た、老人は大村論太郎といった。大村は丸眼鏡をかけた小太りの穏やかな感じでありラフな服装で頭には麦わら帽子がある。
大村は村の状況を見てだ、すぐにこう言った。
「何かおかしいですね」
「はい、実は」
村人、漁師をしている若い男が彼に話した。
「最近ヒトデが多くて」
「ああ、ヒトデですか」
「奴等の漁場も養殖場も荒らされていて」
「ヒトデは魚を食べますからね」
「はい、しかも珊瑚礁にはです」
男は大村にさらに話した。
「オニヒトデが出ていまして」
「オニヒトデは珊瑚を食べますからね」
「大変なんです」
それこそというのだ。
「どうしたものかと」
「そうですか」
「退治もしていますが」
「それでもですね」
「増えるばかりで」
「ううむ、ではです」
ここまで聞いてだ、大村は。
腕を組んで考える顔になってだ、こう男に尋ねた。
「その退治の方法を見せてくれますか」
「はい、いいですが」
「それでは」
こうしてだった、大村は。
男に丁度湊で捕まえたヒトデを退治している場に案内してもらった、そしてその退治ヒトデを片っ端から切り刻んで海に捨てているのを見てだ、こう言った。
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