第一章
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バレリーナ
俺の彼女は所謂バレリーナだ、劇場のバレエ団に所属している。
そのバレリーナを彼女に持っているからかいつも職場で言われることがあった。
「いいよな、彼女がバレリーナって」
「羨ましいな」
「実際奇麗だしな」
「そうそう、あの娘な」
「彼女は美人のバレリーナ」
「これだけでポイント高いな」
「そう思うだろ」
俺はいつもこう皆に返した。
「確かに性格よくて奇麗だよ」
「性格もいいのか」
「そうなんだな」
「ああ、そうだよ」
俺はまず人の性格を見る方だ、正直顔は普通でもいい。スタイルも。性格が悪い奴は正直言って顔のよさをどうしようもなくすると思う。
「優しくて気立てがよくてな」
「じゃあ言うことなしだな」
「そんな娘が彼女なんてな」
「御前が羨ましいな」
「そのことについては」
「まあそう思うのならな」
それならとだ、俺は皆に返すのが常だった。
「そう思ってくれよ」
「余裕だな、おい」
「それも随分とな」
「やっぱりバレリーナの彼女っていいんだな」
「最高か」
「性格がいいからな」
とにかく俺は彼女のそのことが第一だった、けれど皆彼女がバレリーナであることを第一としていた。しかし真相は。
家に帰るとだ、彼女は。
今日も家でもレッスンをしていた、柔軟にバレリーナ独自の身体の動きをそれこそ汗が床に落ちるまでしていた。
その彼女にだ、俺は言った。
「今日もか」
「そう、今日もね」
「汗流してるな」
「だってね」
「バレリーナはな」
「毎日が勝負だから」
だからだというのだ。
「休めないのよ」
「難儀なものだな」
「難儀じゃないわ」
その人形みたいに整った顔を俺に向けて微笑んでの返事だった。
「これがバレリーナだから」
「普通か」
「そう、バレリーナにとってはね」
「毎日毎日な」
「劇場でも稽古場でもレッスンでね」
彼女自身も言う。
「そしてね」
「家に帰ってもか」
「こうでもしないと」
「舞台に立てないんだな」
「そうよ、汗をかいた分だけ」
「舞台に立てるか」
「そうなのよ、じゃあこのままね」
汗を流しながらの言葉だった。
「もう少し汗を流すから」
「晩飯までそうするのか」
「ちょっと待ってね、もうすぐ終わるから」
「それで晩飯もか」
「あなたのとね」
そしてだ。
「私のも用意してあるから」
「食事も違うからな」
「バレリーナは食事も気をつけないといけないから」
「太ったら動けないからな」
「そう、脂肪がついたら駄目なのよ」
それがバレリーナだ、彼女の身体はベッドの中でもよくわかる。とにかく脂肪がない。鶴みたいな身体で胸はない。そうした好みの奴には勧められな
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