第一章
[2]次話
ハヤシライス
小窪綾香はカレーライスが大好きです、それで給食でも晩御飯でもカレーライスが出ればそれだけで大喜びです。
それで、です。いつもお父さんとお母さんにこう言っています。
「私カレー大好きよ」
「そうよね、綾香ちゃんはカレー好きよね」
「こんなに好きなものないから」
そのあどけないお顔を笑顔にさせて言います。
「どれだけでも食べられるわ」
「どんなカレーでも好きよね」
「うん」
そのふっくらとしたほっぺたで応えます。
「牛肉も鶏肉もね」
「豚肉もね」
「ハンバーグもソーセージもカツもね」
そうしたものを入れたりしているカレーもというのです。
「私大好きよ、この前の海老やお魚や貝や烏賊が入ったカレーもね」
「シーフードカレーね」
「あのカレーも大好き、ゆで卵を入れたカレーもお野菜のカレーも」
本当にカレーラシスならというのです。
「何でも大好きよ」
「そうよね、カレーライスならね」
お母さんは黒髪がとても奇麗な、自分が小さい頃の写真そのままの我が娘を見ながら笑顔で言うのでした。
「綾香ちゃん何でも食べるわね」
「だってカレー大好きだから」
この時もこう答える綾香でした。
「私カレーなら何でも食べるよ」
「そうよね」
「だから学校の給食でも晩御飯でもお外に行った時も」
どんな時でもというのです。
「私カレーならね」
「いいのね」
「うん、本当にカレーライスなら」
それこそというのです。
「私何でも食べるよ」
「じゃあ明日は茸のカレーにするわね」
「うん、そのカレーも楽しみにしてるね」
綾香は笑顔で応えるのでした、そして実際に小学校でもお外に家族で出た時も晩御飯の時もです。カレーライスなら。
にこにことしてとても美味しそうに食べるのでした、そんなある日のこと。
綾香は学校から帰ってです、お母さんに尋ねました。
「お母さん、今日の晩御飯何?」
「内緒よ」
これがお母さんの返事でした。
「それはね」
「内緒って」
「そう、晩御飯の時にね」
その時にというのです。
「わかるから」
「そうなの」
「ええ、けれどね」
「けれど?」
「絶対に美味しいから」
だからだというのです。
「安心してね」
「カレーライスなの?」
綾香はここで大好物を出しました。
「今日は」
「内緒よ」
「カレーライスじゃないの?」
「だから晩御飯になればね」
「わかるの」
「そうよ」
こう綾香に答えるお姉さんでした。
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