第一章
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バッタ
欧州ではドイツ軍が破竹の勢いで勝ち進んでいた、ポーランドも北欧もフランスも破り欧州を全て掌握せんが勢いだった。
ドイツから見て東の果てにある日本でもこのことが注目されていてだ、ドイツとより親密になろうバスに乗り遅れるなという話になっていた。
ドイツ軍はフランスを倒し次はイギリスを攻めようと動いていた、ドーバー海峡に空軍が集結しまさに制空権を握ろうとしていた。
それを見てだ、日本の世論特にマスコミのそれはさらに沸騰した。
「ドイツが勝つな」
「ああ、ドイツ軍は無敵だ」
「そのドイツ軍の主力の一つ空軍が集結しているぞ」
「後は制空権の掌握だ」
「ドイツの勝利は間違いなしだ」
「負ける筈がない」
こう言っていた、しかし。
帝国陸軍でも海軍でもだ、そのドイツ空軍が海峡に集結しているのを見て妙に感じる者達がいた。源田実は大西瀧治郎に首を傾げさせながら言った。
「陸軍さんも不思議がっている様ですが」
「ドイツ空軍のことだね」
大西はそのしっかりとした顔で鋭利な顔立ちの源田に己の席から応えた。
「彼等のことだね」
「はい、集結するのはわかりますが」
「近いな」
「海峡に空港を集めていますが」
「ドーバー海峡の間隔は短い」
鋭い顔になってだ、大西も言った。
「あれ位の距離ならだ」
「はい、海峡のフランス側に空港を置きますと」
ひいては航空機をだ、戦闘機も爆撃機もである。
「それこそイギリス本土はおろかアイルランドまでです」
「楽に航空機が行き来出来るな」
「そうなります」
まさにというのだ。
「簡単に」
「そうだな、我が海軍の航空機ならな」
「本当に楽に」
「陸軍さんのでも同じだ」
今度は大西が陸軍の名前を出した。
「あちらの航空機でもな」
「海峡においてはかえってです」
「自分達が反撃を受けてもおかしくない」
「危険です、しかし何故でしょうか」
「それであえてな」
「ドイツ空軍は海峡の方に空港を集めているのか」
「妙だな」
大西はまた言った。
「これは」
「ロイヤル=ネービーが出て来て」
海軍軍人としてだ、源田は言った。
「若し基地を砲撃してきたら」
「厄介なことになるな」
「海軍は今は潜水艦で抑えている様ですが」
Uボートでだ、ドイツ海軍の一次大戦からの伝統戦略でありそれでこの戦争でもイギリス海軍を抑えているのだ。
「しかしです」
「それでもな」
「はい、無理をして海峡に出て来てです」
「基地を攻撃されることも考えられる」
「それでもあえてですね」
「基地を海峡沿いに集めているな」
「どうしてでしょうか」
源田は眉を顰めさせて大西に言った。
「このことは」
「気になるな」
「はい、
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