第24話『競争』
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います!」
「私も私も!」
「えっと…柊君、どうですか?」
「え、いや僕はちょっと…」
「いやいや良いじゃん!」
「柊君可愛いし!」
「静かに。本人が拒否している以上、無理強いは良くありません。誰か別の人は・・・」
「えーつまんない!」
「柊君、良いよね?」
「格好いいところ見せてよ!」
「・・・わかりました」
・・・・・
あの時、肯定をしてしまった自分を責めたい。なんて向こう見ずな奴なんだと。
もしここにいる観客達に僕の秘密がバレて、僕の生態に対して変な研究が始まったりしたら・・・
もう誰とも近づけなくなる。
誰とも話せなくなる。
仲良くすることも・・・。
あの時の先生は驚いた顔してたな。
僕がやると言うなんて思ってなかったんだろう。
多分、やらせないよう庇ってくれてたんだよね。
それは三浦君も同じだったろうね。
彼には色々お世話になった。僕の秘密を隠してくれたり、学校に連れてきてくれたり、友達になってくれたり…。
ホントに感謝してもしきれない。
クラスの女子が悪気があって僕を推薦した訳じゃないっていうのはわかる。皆も秘密を守ってくれてる優しい人達だから。
でも今回ばかりはさすがに・・・
「「「柊君、ファイトー!!!」」」
「!」
声援? 僕に?
声のする方向を見た僕は、ついつい感動しそうになる。
偽りじゃなくて、ただ必死にクラスメートを応援している、そんな“1ー1の彼ら”を見た僕は、今までの考えを捨て去るように首を振った。
何後ろ向きになってるんだ。
三浦君だけじゃない。皆とだって僕は友達なはずだ。
もしこの姿がバレた時、皆はきっと助けてくれる。
だって僕の味方って言ってくれたから。
「ふふっ」
たまらず笑みが溢れる。嬉し涙と共に。
1ー1の皆で赤団を優勝させたい。僕は心からそう願った。
生憎、キャタピラレースとかいう不格好な競技だけど、僕は全力でやる!!
*
「あれ?」
俺はある違和感に気づいた。
数十秒前までは青ざめていた柊君の顔が、いつの間にか凛々しい堂々とした態度の顔になっていたのだ。
先程の、ここまで聞こえる程盛大な1ー1の応援が、彼の心に響いたのだろうか。
何にせよ、やる気になってくれたみたいでよかった。
「頑張れー柊君!」
ここから届くかはわからないけど、とりあえず全力で応援しよう。
柊君の…赤団の勝利を願って。
『よーい・・・ドン!』
スタートと同時に一つの段ボールが飛び出した。
さながらハムスターの様な回転・・・柊君だ。
彼はグングンとスピードを上げ、次の走
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