第24話『競争』
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いよいよ午前中の目玉の競技、綱引きが始まろうとしていた。
やり方に特別なルールはなく、誰もが知る“引くだけ”の普遍的なもので、それらをトーナメント形式で行われるそうだ。
ちなみに一回戦は、赤団vs.青団である。
『よーい』
俺らは腰を低く構え、最も綱を引きやすいであろう格好をとる。別に綱引きに慣れているとかではなく、ただそうするのが良いと知っているだけだ。
沈黙が続く。
この緊張感が有ってこその全校生徒で綱引きってものだ。
全員が物音一つ立てずジッとする。観客の親御さんたちもそれを黙って眺めていた。
『始め!』
「「「おーー!!」」」
「「「オーー!!」」」
沈黙が破られたと同時に、勢いのある大声…もとい掛け声が響いた。
引っ張って、引っ張られて・・・それが繰り返される。
縄の粗さが手にダメージを与えてくるが、そんなことも気にせず、俺は精一杯縄を引き続けた。
だが尚も互角の状態が続く。
どちらにも寄っている様子はないため、このままではサドンデスになる。
それを察した俺は、どうにか魔術を使おうかと右手を見てみるが、よくよく考えるとそれ以前に、縄から手を離すとバランスを崩して周りへ迷惑を掛けるだろう。それは一番してはならない。
とすると、やはりこの状況を打開するのは“諦めない心”といったところか。
ただ、引く体勢がドンドン不安定になり、正直キツい。下手すると滑る。
何とかこの状況を脱せないだろうか…?
「何…考えてんだ、晴登…? そ…んな暇は、ないと思うが…」
「えっ?」
不意に話し掛けられたことに驚き、声がした横を見る。すると、大地がこちらを向いていた。
「何か…考えてる暇があるなら…引けっての…!」
力一杯引いているのだろうか、大地の言葉は途切れ途切れだった。
だがそれらの語は俺を動かした。
そうだ、そうだよな。考えたところで、勝つためには引くしかない。何があっても無我夢中に…!!
「おぉぉぉ!!」
「しゃぁぁぁ!!」
俺と大地の雄叫びが重なる。
するとそれにつられたのか、赤団全体が大声で包まれた。
「「「うぉぉぉぉぉ!!!」」」
青団の驚く顔が目に浮かぶ。
もう俺らは叫ぶことを楽しむかのように綱を引いた。
すると、今まで張り合っていたのが嘘のように、赤団の引きがいきなり強くなった。
青団はその勢いにされるがままとなり、ものの数秒で決着がついた。
『勝者、赤団』
「「「わーー!!!」」」
そのアナウンスと同時に赤団は歓喜の声を上げる。
だがまだ終わりではない。
次に勝ってくる団との決勝戦が残っている
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