暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第24話『競争』
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
いよいよ午前中の目玉の競技、綱引きが始まろうとしていた。
やり方に特別なルールはなく、誰もが知る“引くだけ”の普遍的なもので、それらをトーナメント形式で行われるそうだ。

ちなみに一回戦は、赤団vs.青団である。


『よーい』


俺らは腰を低く構え、最も綱を引きやすいであろう格好をとる。別に綱引きに慣れているとかではなく、ただそうするのが良いと知っているだけだ。

沈黙が続く。
この緊張感が有ってこその全校生徒で綱引きってものだ。
全員が物音一つ立てずジッとする。観客の親御さんたちもそれを黙って眺めていた。



『始め!』


「「「おーー!!」」」
「「「オーー!!」」」



沈黙が破られたと同時に、勢いのある大声…もとい掛け声が響いた。
引っ張って、引っ張られて・・・それが繰り返される。
縄の粗さが手にダメージを与えてくるが、そんなことも気にせず、俺は精一杯縄を引き続けた。

だが尚も互角の状態が続く。
どちらにも寄っている様子はないため、このままではサドンデスになる。
それを察した俺は、どうにか魔術を使おうかと右手を見てみるが、よくよく考えるとそれ以前に、縄から手を離すとバランスを崩して周りへ迷惑を掛けるだろう。それは一番してはならない。

とすると、やはりこの状況を打開するのは“諦めない心”といったところか。
ただ、引く体勢がドンドン不安定になり、正直キツい。下手すると滑る。

何とかこの状況を脱せないだろうか…?



「何…考えてんだ、晴登…? そ…んな暇は、ないと思うが…」

「えっ?」



不意に話し掛けられたことに驚き、声がした横を見る。すると、大地がこちらを向いていた。


「何か…考えてる暇があるなら…引けっての…!」


力一杯引いているのだろうか、大地の言葉は途切れ途切れだった。
だがそれらの語は俺を動かした。

そうだ、そうだよな。考えたところで、勝つためには引くしかない。何があっても無我夢中に…!!



「おぉぉぉ!!」
「しゃぁぁぁ!!」



俺と大地の雄叫びが重なる。
するとそれにつられたのか、赤団全体が大声で包まれた。


「「「うぉぉぉぉぉ!!!」」」


青団の驚く顔が目に浮かぶ。
もう俺らは叫ぶことを楽しむかのように綱を引いた。
すると、今まで張り合っていたのが嘘のように、赤団の引きがいきなり強くなった。
青団はその勢いにされるがままとなり、ものの数秒で決着がついた。


『勝者、赤団』


「「「わーー!!!」」」


そのアナウンスと同時に赤団は歓喜の声を上げる。

だがまだ終わりではない。
次に勝ってくる団との決勝戦が残っている
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ