第62話 鋼鉄
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軽く突かれただけなのに肩の皮膚は裂けた。
(なんて力だ)
皮一枚斬られたという状態ではあるのに衝撃は物凄いものだった。
(まったく厄介な化け物になったものだ)
土方は小さく舌打ちをした。が、すでに土方は頭をフル回転させてこの化け物を退治するための計画を考え初めていた。
剣を構えてはいるが、辺りを目だけで見渡し何か利用出来る物はないかと観察した。そして、近藤に対してはどこか弱点はないかと様子を覗った。
「わはははは。典太を以てしてもわしは倒せん。わしの体はこの地面と同じよ。剣でも、拳銃でもわしは貫けぬ」
近藤は自慢げに大口を開けて笑った。
(あっ、口の中は人そのままじゃないか)
土方に一筋の光明が見えたような気がした。もし、あそこに典太をぶっさすことができれば勝てる可能性もある。
「まさに化け物だな、近藤さん。そんな姿にまでなって生きながらえるのあんたの誠ってやつかい?」
土方は近藤を挑発するかのように言った。
「ふん、俺の誠はなぁ、とし。お前や総司と戦ってみたいという事だけよ。隊を作り、俺は局長になった。一介の農民だった俺は武士にもなった。が、そんなことは、本当はどうでもいいことだったんだよ」
近藤は金色に輝く瞳を土方に向けた。
(何かないか。何か)
土方は近藤の口上など聞く暇もないように必死に周りの様子を覗っていた。
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