ー決闘の後にはー
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微笑んでいた。 自分以外の被害者が増えるのはいい事だ。
「はぁ〜……」
「ん? どったの白いの」
はぁ〜と深くため息を吐き出したキリトを怪訝に思ったのか、シィはこてんと首を傾げた。 心配ないと意思表示なのか、顔の前で手を横に振りつつ、口を開いた。
「いや、俺もついにギルドに入るんだな〜、って思ってさ」
「いいんじゃないか? 住所不定で、闘うこと以外取り柄のないニート剣士に役職がついて」
「ぐはっ……」
何気なく呟いた一言は、キリトのハートにクリティカルヒットしたらしくうっと胸を押さえながら床に倒れこんだ。 戦闘バカ……ニート剣士……とぶつぶつと呟くキリトを一瞥し、苦笑を零すとこれ以上キリトに被害をもたらさないための心遣いか、アスナが強引に話題を変える。
「けど、なんかコスプレ会みたいになっちゃったね〜」
あはは〜と笑い声をあげるものの、その笑みは引き攣っており無理してることが丸わかりだ。 恥ずかしいなら、この話題を出すなよ、と内心呆れていると女性二人の視線が自分へと向いていることに気がついた。 胸中になんとも言えない不安が広がり、冷や汗が頬を伝う。
「……な、なにかな」
「いや、ユーリ君だけ普通だなぁって思って」
「充分普通じゃないんですけどね」
ほら、耳とか尻尾とか……これ以上辱しめを受けろとか鬼ですか貴女?
抗議の意味を込めて、アスナを半目で睨みつけていると何か閃いたらしくシィがポンっと掌を打った。
「そういえば、メイドがいるなら執事も必要だよね!」
「なんか言いだしたぞ、この馬鹿……」
そう言うとアスナとシィが顔を見合わせ、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
この後に起こり得るであろう展開はわかりきっているので、被害に巻き込まれる前に逃走を図ろうと逃走しよう。 そう思うが、足が何かに捕まれピクリともしない。 咄嗟に下に視線を向ければ、ついさっきまで屍のようになっていたキリトが、右足をがっしりと掴んでいた。
「なぁ、ユーリ。 死なば諸共って言葉知ってるか?」
「お前と心中する気はねぇよ、バカ! 離せ!」
濁った眼を向けてくるキリトからなんとか逃れようと自由な左足で足蹴にするが、意地でも逃す気はないらしく、一向に拘束力が弱まる気配がない。 焦りを感じていると、ヒヤリとうなじに寒気が走り、そっと腕を掴まれ、右肩に細い指が添えられた。
「……観念、してくれるよね?」
「ーーーっ!??」
氷のような冷たい微笑を浮かべたアスナが耳元でそっと囁く。 下手なB級ホラーよりもよっぽど恐い。 内心、焦りと恐怖で混乱しているとトドメを刺すかのようにシィが左腕にムギュと抱きついてきた。
「つ〜か〜ま〜え〜た♪」
ニヘヘっとあどけない表情を浮かべる相棒が
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