【暗黒の剣士】──因果率崩壊Lv:X
笑う棺桶(1)
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HPバーは塵と消える。そうすれば、デスゲームであるこのSAOにおいて、ジンは死ぬ。リアルでも、死ぬ。どこに有るのかわからないジンの本体と共に、死ぬのだ。
「……ッざけんじゃねぇぞ……!」
罵る。誰を? 騎士を。神を。そして己を。この事態をどうすることもできない、己を──
──銀の光が走ったのは、その時だった。
かかかかッ、という軽快な音。しかしそれが与えたダメージは甚大。粛清騎士の漆黒の鎧に大きく傷を作り、HPを減らす。
それをなしたのは、白いポンチョで身を包んだ、奇妙な人物だった。どこかで見たような容貌をしつつも、決定的な違和感を覚えるその姿。
「ふっ……」
予想外に高い声で、まるで包丁のような短剣を振るう白いプレイヤー。銀色の輝きを宿した包丁剣が繰り出すのは、短剣四連撃ソードスキル、《ラピットバイト》だろうか。
それは狙いたがわず騎士の傷跡を抉り、同時に凄まじい閃光を放つ。クリティカルヒットだ。意図的に、それを引き起こしたのだ──
──なんだ、コイツ。
既知感。そう、既知感だ。知っている。こいつの剣技を知っている。こいつを、知っている。
「──勇敢なる《笑う棺桶》の同志達よ!」
『そいつ』は声を張り上げた。知らない声だ。
「漆黒の騎士達を足止めしてくれたことに、大きく感謝します!」
『そいつ』は白の騎士達を鼓舞する。知っている手口だ。
「遅れてしまって申し訳ありません──今こそ、反撃の時です!」
『そいつ』な左手で何かを取り出す。群青色のクリスタル──あれは、回廊結晶だ。だが──模様が違う。回廊結晶では、ない……?
「ダブルコリドー・オープン!」
──《相補回廊結晶》。そんな名前が、ジンの脳裏に閃いて。
啓いたデータの狭間から、無数の白い騎士達が出現する。どの騎士も一目で圧倒的と分かる上位装備で身を包み、黒い騎士達に向かって躍りかかった。
それらが全て出撃し。コリドーの窓が消滅し。そしてその場に誰もいなくなった後。
『そいつ』は、ジンの方を見た。
白いポンチョを取り払う。純白の髪が舞う。銀色の瞳が、こちらを射抜く。
それは少女だ。聖女──いや、天使? 何か、異質なものすら纏った、美しい少女。
彼女は確かな戦意と、しかし慈愛をたたえた瞳でジンを見つめ、剣を納めて空になった、その右手を差しだした。
「私は『PoH』──『Princes-of-Heaven』。セイバーズギルド《笑う棺桶》のギルドマスターをしています」
そして一歩踏み出すと、柔らかな微笑みと共に、言った。
「先程の素晴らしい戦い、見せて
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