【暗黒の剣士】──因果率崩壊Lv:X
笑う棺桶(1)
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ンチプレイヤブル・ガーディアン!」
まずい。
ジンは内心で冷や汗をかく。目の前の敵は、プレイヤー限界を越えたLv300のチートNPC。守護騎士出会った頃に何度か剣を交わしたが、ジンですら時々危うくなるほどのチート性能だった。当たり前である。
しかしあのときは、ジンを圏内に入れないために、撃退することだけを考えていたNPCだった。今は違う。確実に、その恐るべき性能の全てをもって、ジンを殺しに来ている。
「野郎……ッ!」
武器はない。スキルは《千里眼》だけ。今見たところ、Lvは250。これでは、届かない。
『ギギギギ、プレイヤーヲカクニン、シュクセイスル』
「うるせぇ黙れ」
恐るべき速さで繰り出されてくる斬撃。《千里眼》の力でそれを見切り、なんとかかわしていく。だが足りない。このままでは、いつか捉えられる。
「させるかよッ!」
──月光神化。
そう、心で呟く。
同時にステータスが跳ね上がる。かつて月の剣士の中にいた、新月の魔の力を借りる。これなら、行ける。
さあ、征け。
「おらっ!」
黒騎士の剣を拳で弾く。HPバーが少し削れるが、この程度なら許容範囲だ。透かさず胴に蹴りを決める。
しかし。
「マジかよ、全く減ってねえ……」
今のジンの筋力値なら、中層のフロアボス程度ならワンパンすら可能だ。
しかし──しかし。漆黒の粛清騎士には、全く通用しない。そのHPバーは、コンマ一ミリほど減った程度だった。ノックバックすら、発生せず。
「なろっ……!」
追撃をかわす。イメージは《体術》派生スキル、《軽業》。右手を大地に。大きく足を振りかぶりながら、扇形に回転──側転で、斬撃を回避。
スキルディレイだろうか。少しだけ動きを止める騎士。しかしそれは、次の瞬間には凄まじい勢いでジンへと突進して来た。ギュィィィィン、というジェット噴射の様な音。深紅に輝く刀身。
《千里眼》を通すまでもない。あのソードスキルのことをよく知っている。使われた。使った。何度も、何度も。
《片手剣》重突進ソードスキル──
「──《ヴォーパル・ストライク》……!」
その速度は尋常ではない。もっと別の、何かのようで。
そしてジンが回避行動に移る直前で、それは起こった。
彼の左目が、力を失う。神の瞳が、消失する。
「マジかよ、このタイミングで……!?」
《千里眼》の使用時間切れ。長いクールタイム。暫しの間、すべてを見通す月神の力は使えない。
そしてそれは、今のジンにとっては致命的だ──!
「不味ッ…………!!」
間に合わない。直感的に悟る。
死ぬ。直撃したら、この
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