SIDE:A
第六話
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。このポーチ、何気に結構容量あるんだよね。
「んじゃあ早速、術を教えるわね。印は『子・丑・寅・卯・辰・卯・辰・亥・戌』よ。九喇嘛ー、ちょっと協力してちょうだい」
「む? なんじゃ」
離れた場所で木にもたれていたクーちゃんが顔を上げた。
「ちょっと封印術使いたいから九尾の姿になってくれないかしら」
「九尾の姿……。まあ言いたいことは分かるからいいんじゃが、なにか釈然としないのぅ」
憮然としながらも期待に応えてくれるクーちゃん。
この三年ですっかり家族の一員になったクーちゃんは俺の他に汐音や両親にも気を許してくれた。その証拠として真名である九喇嘛の名を呼ぶことを許している。クーちゃん呼びは相変わらず俺だけにしか許していないけど。
このようにちょっとした頼みも聞いてくれるし、案外クーちゃんって身内には優しいのよね。
巨大な狐の姿に戻るため距離を取ったクーちゃんはラフなTシャツ姿から彼女の自称正装である色打掛姿に戻ると、その体から濃密なチャクラが立ち昇った。
そして――。
『これでいいかの?』
美しい金色の毛並みを持つ巨大な狐がお座りの姿勢で俺たちを見下ろしていた。
クーちゃんの狐姿を目にするのは契約時以来だが、あの時と比べると九つの尻尾は緩やかに揺れており、理知的な目は優しい光を放っている。
あの頃はクーちゃん激怒してたからなぁ。
「やっぱクーちゃんのその姿いいねぇ。輝いてるよ!」
今度その姿で尻尾をもふらせてもらおう!
『そ、そうかの? 照れるのぅ』
テレテレと照れるクーちゃんマジ可愛い! 尻尾も嬉しそうに揺れてるし!
「じゃあハルト、よーく見てるのよ。九喇嘛もちょっと窮屈だと思うけど我慢してね」
『うむ。ほどほどにお願いするのじゃ』
「それは難しいわ。なにせ加減が利く類のものじゃないからね。……封印術・天動象門陣!」
印を結び胸の前で掌を合わせると、クーちゃんの頭上から小さな鳥居が降ってきた。
それらはクーちゃんの首、胴体、腕、脚、尻尾の計十箇所の場所に落下すると、鳥居の中央スペースにすっぽり収まってしまった。
強制的にうつ伏せの状態を強いられる形となったクーちゃんは当然ながら苦しげな声を上げた。結構ガツンッと鳥居に嵌ったから痛いんじゃないかな。
『むぅ……! こりゃクシナ! ちと苦しいぞっ』
「そりゃ封印術なんだからちょっとは我慢しなさい。それでこんな感じの術なんだけど、分かった?」
「ん、大体はイメージできた」
「よし、あとは練習あるのみね」
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