75部分:第七十四話
[8]前話 [2]次話
第七十四話
第七十四話 戦い終わって
結果は意外なものであった。何と勝ったのは美奈子のクラスであったのだ。
「嘘」
「特にポイントゲッターもいなかったのに」
皆その結果を聞いてまずは驚きの声をあげた。
「総合力ってやつじゃないかしら」
「総合力」
「ええ」
梨花は他の四人の言葉に応えた。
「例えば華奈子ちゃんのクラスは華奈子ちゃんが飛び抜けていたわよね」
「うん」
「けれど他の皆には差があった。けれど美奈子ちゃんのクラスは」
「言うなら皆が二番や三番だったと」
「ええ」
今度は美樹の言葉に応えた。
「平均がよかったから。それで」
「学校のテストと同じね」
春奈はテストに例えてきた。
「平均点がよかったらそれで上になるから」
「成程」
「それで優勝したのね」
最後に赤音が言った。
「そっかあ。そういうやり方もあったんだ」
華奈子は感心したように言った。
「これには気付かなかったわ。結局皆がよくないと駄目なのね」
「それは私達にも言えるわよね」
「あたし達にも」
「ええ」
梨花はここで魔女に戻った。そして四人に対して言った。
「紫の魔女に対抗するのは一人では無理だから。皆が頑張らないと」
「だからこの前は苦しかったけれど何とかやれたわね」
「そう。けれどまだまだよ。皆頑張らないと」
「そうね」
「そうじゃないと。負けるのはこっちだから」
「相手も手強いし」
「そう。魔女はまた強くなるかも知れないわ。それを考えると」
「やるしかないわね」
「ええ」
五人は頷き合った。そして魔女に戻っていた。
美奈子はそんな五人を離れた場所から見ていた。自分のクラスが優勝したというのに微笑み一つ見せずクールな顔で五人を見ていた。
「またやる気になったわね」
彼女はポツリと一言言った。
「私も。本当にうかうかしていられないわね。特に」
そう言いながら双子の妹を見る。
「華奈子。貴女には絶対に負けたくはないわ」
「あっ、美奈子ちゃん」
ここでクラスメイト達に声をかけられた。
「何かしら」
「優勝したし。これから乾杯しない。ジュースで」
「ええ」
美奈子はそれに頷いた。そして華奈子達から目を離してクラスメイト達と一緒にその場を後にした。
運動会は終わった。だがそれはまた新たな戦いのはじまりであると言えた。華奈子達はまた紫の魔女に出会うことになるのだから。
第七十四話 完
2005・12・16
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ