第6章
体育館裏のホーリー
第113話 顕現緋龍
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「お久しぶりですね、士騎明日夏君」
カリスは余裕のある様子で笑みを浮かべているが、視線からは警戒心が感じ取れた。
奴の視線は俺が今屠った巨人に向けられている。
この巨人があの時と同じものなら、今頃は首が再生して動き始めるところだが、巨人の首は一向に再生しない。奴はその事に対して警戒し、訝しんでいるのだろう。
「何をした……と訊いても素直に答えてくれるはずもありませんか」
敵のお前にほいほい答える義理なんて無いからな。
俺はイリナ達やアルさんへと告げる。
「こいつは俺が引き受ける。周りの悪魔達は任せて良いか?」
「大丈夫なの、アス君?」
「アルさんが言うには手強いそうだけど……」
イリナとユウが心配そうに訊いてくるが、俺は「問題無い」と告げる。
「……そこまで言うのなら、好きにしろ」
そう言い、ライニーはさっさと悪魔達の方に行ってしまう。
そんなライニーをユウは慌てて追い掛ける。
「わわっ、待ってよ、ライ君! 気を付けてね、アス君!」
「ああ」
ユウの言葉に頷き、イリナやアルさんと視線を交わす。
二人も頷き、ライニーとユウの後に続く。
みんなが立ち去った後、俺はカリスを見据える。
「ずいぶんと自信がある様ですね?」
「さあな」
カリスが視線を相手を観察・値踏みする様なものに変えながら訊いてくるが、適当にはぐらかす。
「まあ、良いです。なら、存分に観察させてもらうだけです」
カリスのその言葉と同時に、奴が従える巨人の死人兵以外の死人兵達が一斉に襲い掛かってくる。
「……喰らえ!」
その呟きと同時に、襲い掛かってくる死人兵達を突然現れたドラゴンが喰い千切っていった。
その後、ドラゴンは俺の周りを漂いだす。
「やはりと言うか、火を見るより明らかと言うか、そのドラゴンは貴方が自身のオーラで作り出したものでしたか」
奴の言う通り、このドラゴンは俺の緋のオーラで作り出したものだ。
神喰狼との戦いで、怒りに任せて戦った際に偶然オーラでドラゴンを象った。
『顕現緋龍』、その経験を元に編み出した技で、緋のオーラで様々な形態のドラゴンを作り出し、使役する単純なものだ。
カリスは俺の作り出したドラゴンをまじまじと観察すると、巨人の死人兵二体に指示を出す。
指示を出された巨人の死人兵は俺目掛けて突っ込んでくるが、俺はドラゴンに正確に首を喰い千切らせる。
首を喰い千切られた巨人の死人兵は最初の巨人の死人兵と同じく、活動を停止する。
「ふん、形状は東洋のドラゴンを模し、顎、特に牙にオーラを集中させていますね。そうする事で、彼らを容易に噛み千切る威力を出している訳で
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