三話:お誘い
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までの距離は近くはない。
だというのに到着した時には先程の光景が一瞬前のように感じられる程に彼は浮かれていた。
『ただいま』
「む、帰ったか。遅れる時は必ず連絡するように言っておいたはずだが?」
『ごめん、エミヤ』
帰宅したぐだ男を待ち受けていたのはおかん、もといエミヤ先輩である。
隣に住む大学生で両親が不在のぐだ男の世話を何かと焼いてくれる保護者枠である。
「君も、もう高校生だ。下手に束縛をするつもりはない。ただ、帰るのが遅れる場合は夕飯がいるか、何時頃に変えるか、どこに誰と行くかをメールで知らせたまえ」
彼は世話を焼いてくれはするのだが小言が多い。
全て相手のことを思って言っている言葉なのでまさにおかんである。
因みに今朝の朝食も彼の作り置きである。
「それとだ。冷蔵庫の中を確認させてもらったがアイスやジュースなどが多すぎる。暑いのはわかるがあれでは健康に害が及ぶので程々にするように。それに食べすぎや飲みすぎでお腹を壊すのは君とて不本意だろう? ああ、お腹を壊すで思い出したが腹巻を作っておいたから冷える時は使うといい」
徹底した管理体制が引かれているがそのおかげで健康なので文句は言えない。
寧ろ両親がいる時よりも健康的な生活と化している。
「さて、小言はここまでにしよう。早く着替えてきたまえ。せっかくの作り立てだ、冷めてしまう前に食べるのが一番だ」
『分かった』
「ああ、それと明日は燃えるごみの日だ。忘れないように」
怒涛の小言の連射にもぐだ男は特に気にすることなく自身の部屋に向かう。
言われたとおりに着替えてすぐに食卓に着く。
『いただきます』
「ああ、どうぞ。……しかし、やけに機嫌がいいように感じるが何か良いことでもあったのかね?」
『秘密』
「ふ、そうかね」
秘密と言われたことにニヒルな笑みを浮かべるエミヤ。
俗に言うプレイボーイである彼にはぐだ男の機嫌が良い理由が女性関連だと気付いたのだ。
もっとも、彼自身は女難の相も持っているためいつも酷い目にあったりするのだが。
『そういえば、この蛍光灯って直流? 交流?』
「む? これは交流だ。直流では長期間持続するのに向いていないからね。それに家庭に流れている電気は基本交流だ」
『じゃあ、直流の具体例って何かある?』
「一番身近なものは乾電池などだろう。他には最近注目されている太陽光発電などがある」
聞けば簡単に出てくるエミヤの知識に自分の努力は何だったのかと思うがすぐにやめる。
元々家電などが好きな性格の人間だ。一般常識よりも上の知識を持っていてもおかしくはない。
きっとそうした理由なのだろうと納得し夕飯を食べ終え自分の部屋に行く。
『そう言えば勉強会の日
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