三話:お誘い
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『そう言えば……どうして俺が図書室に居るって分かったの?』
「ああ、それはですね。天草君に聞いたんです」
『そっか、天草なら知ってるか』
言われて納得するぐだ男。天草は生徒会、そしてジャンヌも生徒会。
仕事があると言っていたのだから2人とも同じ場所にいて当然だろう。
「では、先程の話を続きです。何か私にできることはありませんか?」
『……特に困っていることもないし』
再び言われて記憶をまさぐるが特に困っていることはない。
そう考えた時に今朝、期末試験のために勉強会でも開こうかと思ったことを思いだす。
『そうだ、勉強』
「え? べ、勉強ですか」
勉強と言われてジャンヌの顔に焦りが見える。
実はジャンヌは品性方向だが忙しいせいか勉強があまり得意ではないのだ。
理系教科、特に数学の成績は妹のジャンヌ・オルタと同じように低い。
『そう言えば苦手だったっけ?』
「う……で、でも大砲の並べ方とか兵の配置は得意です!」
『逆にどこで学んだのそれ?』
どこから手に入れたのか謎の知識を語るジャンヌにツッコミを入れる。
「しかし、そうすると私に教えられることは……」
『いや、勉強教えてもらいたいんじゃなくて勉強会を開くつもりなんだけど一緒にどうかなって』
「え、そうだったんですか。すいません、早とちりしてしまって」
『こっちも言い方が雑だった』
恥ずかしそうに視線を下げるジャンヌ。
そんな姿にときめきながら慌ててフォローを入れるぐだ男。
「でも、そうなると結局私はぐだ男君に何もしてあげられない気がするのですが」
『じゃあ、人を集めるのを手伝ってくれる? 実はまだ集めてないんだ』
「そういうことでしたらお任せください。何人か心当たりがあるので声をかけてみます」
『日程とかは後で連絡するね』
こうして勉強会の段取りが決まっていく。
普通であれば共通の友人を探すのに手間を取るだろう。
しかしながら、ぐだ男は校内一顔が広い男として有名である。
誰を呼んでも面識があり、なおかつ初対面でもあっという間に相手の心を開く。
コミュニケーション力の化け物といっても過言ではない人物なのだ。
「はい。私も今回は頑張ろうと思っていたのでお互いに頑張りましょう」
『うん、頑張ろう』
気になっている相手と一緒に勉強会ができることに心の中でガッツポーズをするぐだ男。
そんな気持ちに気づくことはないがジャンヌは共に微笑む。
「あ、私はこっちの道なのでここでお別れですね」
『また明日』
手を振り、別れを告げる。背を向けた彼女の髪に夕日が反射し宝石のように輝く。
その光景を瞳に焼き付けるように見つめてから反対の道を歩き出す。
家
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