三話:お誘い
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メドゥーサの罰が執行された後、そのまま図書室に残り宿題を行うぐだ男。
残りは直流が使われているものの“具体例”を挙げるだけとなったところで時計を見る。
『そろそろ最終下校時刻か』
大きく伸びをして背筋を伸ばす。
バキバキと背骨が鳴る感覚を楽しみながら外を見る。
夏本番に差し掛かってきたこともあり太陽はまだ昇っており、茜色に空を染めていた。
「おーい、そろそろ帰らないとおじさんが閉じ込めちゃうぞー」
『あ、ヘクトールさん、お疲れ様です』
校舎の戸締りを確認しに来た用務員のヘクトールと鉢合わせする。
常に飄々とした態度でザ・おじさんといった風貌なヘクトール。
しかし、それは表面上の話で実際は抜け目のない性格で学校を守っている。
「おお、ありがとさん。いやー、最近の若い子は礼節がしっかりしてて偉いねぇ」
『ありがとうございます』
「おっと、そんなことより早く行ってやんな。お嬢ちゃんが待ってるぜ」
『お嬢ちゃん?』
ヘクトールの言葉に誰のことか分からずに首をかしげる。
ひょっとしてマシュだろうかと思い手早く荷物を片付け図書室から出る。
「あ、ぐだ男君。お疲れ様です」
『ジャンヌ?』
予想外の相手の登場に目を丸くするぐだ男。
「いやー、少年も隅に置けないねー。こんな可愛い子に待っていて貰えるんだから」
「か、可愛いですか? そんなことはないと思いますよ」
『いや、ジャンヌは可愛いよ』
「ぐ、ぐだ男君もからかわないでください…!」
立て続けに可愛いと言われて頬を染めて怒るジャンヌ。
そんな姿が可愛いのだとぐだ男は内心で思うが本気で怒られても困るので黙る。
「へいへい、それじゃあ年寄りは退散するとしますかね。後は若い者同士でなー」
「もう……ヘクトールさんにも困ったものです」
『良いおじさんなんだけどね』
いつものように飄々とした態度のまま歩き去っていくヘクトール。
その背中に溜息を吐くジャンヌ。
そんな姿にもぐだ男は目を奪われながら声をかける。
『そう言えばどうして待ってたの? 何か用事?』
「用事という程でもないですが、今朝お礼の話をしそびれていたので」
言われて今朝のことを思い出すぐだ男。
以前に生徒会の仕事を手伝ったそのお礼について話していたのだった。
時間の影響で途切れた話の続きをしに彼女は律儀に来てくれたのだろう。
『気にしないでいいのに』
「ですが、恩返しないと納得がいかないので。何か困っていることなどがあれば遠慮なく言ってください」
『そうは言われても……』
本当に気にしていないので何も思いつかず困惑するぐだ男。
そんな折に最終下校の放送が流れ始める。
【下校の時間
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