そうなんです 【名前はまだ無い♪】
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点き、再度仮面の人物が映る。
『そっか凛ちゃんが自殺したんだね」
今までの機会を通していた声とは違う、花陽のよく知る人物の声がスピーカーからから聞こえてきた。その声に花陽は涙でぬれた目を見開き、ゆっくりとモニターに振り向く。その様はまるで信じられない出来事に遭遇した人のそれだった。
「な……んで……」
『なんで? 何がなんでなのかな?』
花陽は画面に映る仮面を外した人物に向けて、疑問の言葉を投げかける。花陽の振り向いた先、そこに映っていたのは先程「少し酷い目に遭っている」と言われた春人自身だった。
『あぁなんで僕がここにいるのかって事かな? それは簡単でね。僕が二人をそこに閉じ込めた張本人だからだよ』
「そんな……一体何の為に……」
『何の為? そんなの決まってる。僕は二人が好きだった。けど、二人同時に愛することは出来ない。なら、取れる方法は一つだけだった』
「それがこれなの?」
花陽は春人から聞かされる事が信じられないのか聞き返すと、春人は黙って頷く。
「でもさっき酷い目に遭ってるって」
『そうだね。幼馴染みが苦しんでるのを見続けるって、僕は酷い目だと思うんだけど?」
春人の言葉に花陽は信じられないものを見るように目を開く。春人はそんな花陽を無視して、画面の中で両腕を広げると嬉しそうに続ける。
『さぁ花陽ちゃん、おいで』
「……」
『花陽ちゃん……?』
春人は俯いたまま動かない花陽に首を傾げる。花陽はそんな春人に何も返さず落ちた首輪を拾うと、それを自分の首に持っていく。その行動に春人は不思議なものを見るように花陽を止めようと声をかけるも、花陽はそれに耳を貸さずに首輪をつける。
カシャン、という音とともに残り数秒のタイマーが動き始める。
「ごめんね凛ちゃん。お願い聞く事出来なかったや」
『花陽ちゃん何してるのかな?』
「春人君。私、今の春人君には着いて行けないや。だから、私はここでお別れだね。さよなら」
花陽は画面に笑い掛けると首輪からピー、とタイマーの音が鳴り、部屋の中に小さな爆発音が響き、辺りに砂煙が舞う。
煙が晴れた部屋の中にはバラバラになって原型が分からなくなったモノが部屋中に転がっていた。
『……』
そんな惨状を見た春人は何も言わずに、ただ静かに画面の電源を消した。
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