第二章〜緋の帝都 〜夏至祭〜 外伝〜波乱の鼓動〜
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「彼女も王太女という、次期女王の立場を継ぐにあたり相当迷い、悩まれたそうだ。しかし己の力不足を受け止めた上でそれでも前に進む決断をなさった。我が弟にも、それと同じ事が出来ないとは決して思わない。」
「兄上…………ありがとうございます。何よりも心強い言葉です。」
「まあ君は、もう少し自分のやりたい事をすべきとは思うがね。少しくらいワガママを言ってもバチは当たらないんじゃないか?」
「あはは……どうも性分みたいで。兄上が羨ましいです。天衣無縫、自由間達に振舞えて。」
「うーん、あまり私のような人間を見習ってほしくはないんだが……」
少年の言葉を聞いたオリヴァルト皇子は苦笑したが
「あとは、そうですね……オズボーン宰相の力強さにもちょっと憧れてしまいますね。」
「ふむ…………」
「昨年の”帝国交通法”の導入も反対勢力を押し切って強引に踏み切ったそうですが……それ以来、導力車の事故が激減したと聞いています。父上の信頼が高いのも頷けますよね。」
「……ああ、実際あれは素晴らしい施策だったとは思う。帝都庁と協力してのキャンペーンなども見事だった。だが―――」
笑顔である人物の事を嬉しそうに語る少年を真剣な表情で見つめた。
「―――もう、兄様もセドリックもこんな昼間から政治談義なんて!」
するとその時金髪の可憐な少女が部屋に入って来て不満げな表情で二人に近づいて見つめた。
「アルフィン……」
「おや、女学院の授業はもう終わりなのかい?」
「ええ、夏至祭の準備のため午前中で終わりました。―――それよりも、セドリック。ちょっと生真面目すぎるわ。わたくしたちの歳で政治なんて背伸びもいいところじゃない。」
「いや、僕達も15歳なんだから早すぎるってことはないんじゃ……」
「そんな事より、宮殿のパーティでもうちょっと大胆に振舞いなさい。ダンスに誘われたくらいで真っ赤になるなんて情けないわ。」
「うう……それを言わないでよ。」
「フフ、あの時のセドリックはある意味、大人気だったようだが。母性本能をくすぐられたと令嬢がたが騒いでいたようだし。」
少女の指摘に少年は肩を落とし、オリヴァルト皇子は笑顔で答えた。
「ま、それは否定しませんけど。姉のわたくしより可憐だったと殿方も噂していたくらいですし。」
「さすがにそれは嘘だよね!?」
そして呆れた表情で呟いた少女の言葉を聞いた少年は驚きの表情で声を上げて指摘した。
「そんな嘘を私の口から言って欲しくないなら、もっと堂々としなさい!」
「いやいやいや!それは絶対無理だって!」
「はは……―――そういえば、アルフィン。君の方こそ、今度の園遊会で一緒に踊る相手は決まったのか
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