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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十三話 華やかさの陰で……
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えた。

「嘘は言っていないよ。卿が私の頼みでフェザーンに行った事も私達が親友であることも事実だからね」
その言葉にフェルナー准将、アンスバッハ准将が揃って苦笑した。

どうやら司令長官はフェザーンの新弁務官にフェルナー准将は自分の味方だと吹き込んだらしい。

「なかなか信じてもらえなくて困ったよ。卿は酷い事をするな」
「お互い様だろう、アントン。卿がオーベルシュタイン准将に接触した事を忘れてもらっては困るよ」

司令長官もフェルナー准将も笑顔で話している。遠めに見れば親しげに話しているようにしか見えないだろう。

不意にローエングラム伯の居るほうでざわめきが起きた。見るとブラウンシュバイク公が歳若い女性とともにローエングラム伯のところに近寄っていく。

「アントン、あれはブラウンシュバイク公爵家のフロイラインかな」
「ああ、そうだ」
「そうか……」


ブラウンシュバイク公がローエングラム伯に話しかけ始めた。ローエングラム伯は礼儀正しく答えている。ブラウンシュバイク公は娘の前だからだろうか、ひどく上機嫌だ。

そんなブラウンシュバイク公の様子につられたのか何人かの貴族がローエングラム伯のそばに寄ってきた。ブラウンシュバイク公はいっそう上機嫌に振舞っている。

「なかなかやるね、アントン」
「まだまだ、これからさ」
司令長官もフェルナー准将も笑みを絶やさない。しかし、まだまだ、これからと言っていたが一体何をするつもりだろう。

ブラウンシュバイク公が右手を上げると音楽が鳴り始めた。皇帝円舞曲、ウィンナーワルツだ。それとともにローエングラム伯とフロイライン・ブラウンシュバイクがフロアーの中央に歩み始めた。見た目にもローエングラム伯が困惑しているのが分かる。

「アントン、ローエングラム伯は踊れるのかな」
「多分、大丈夫だと思うが……」
「頼りないな。卿が何を考えているかは分かるが、失敗すると伯を侮辱する事になるよ」

心配そうな司令長官のその言葉にアンスバッハ准将が答えた。
「その時はフロイラインがローエングラム伯をお慰めします。心配は要りません」
「まさかそれが狙いではないでしょうな。だとすれば酷い話だが」

「分かりませんよ、ロイエンタール提督。この人達は酷い人達ですからね。必要とあればフロイラインに逆立ちだってさせますよ」
司令長官のその言葉に皆苦笑した。

「いくらなんでもそれは無いさ、エーリッヒ。そうでしょうアンスバッハ准将」
「さて、私はしないが卿は分からんな。元帥閣下の仰るとおり、卿は酷い男だ」

アンスバッハ准将のその言葉にまた皆が苦笑した。中央ではローエングラム伯とフロイライン・ブラウンシュバイクのダンスが始まった。二人とも危なげなく踊っている。二人のダンス
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