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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 24
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してやるから覚悟しなさい!」

(! 十八人!? そんなに居るの!?)

 二人の会話をアーレストの腕の中で黙って聴いていたミートリッテだが、周囲を見回しても耳を(そばだ)てても、三人以外には呼吸音一つ捉えられない。
 一方、マーシャルは人数まできっちり把握しているらしい。
 アルフィンが連れて行かれる場面を直に見ていたのだろうか。
 十八人の、誰にも見つからずに接近して?

 只者じゃないのは、アーレストへの攻撃で充分見て取れたが。
 長剣を自由自在に操っているマーシャルも、彼女と互角に渡り合っているイオーネも、マーシャルの速すぎる攻撃を軽々と避け続けたアーレストも、全員、格が違いすぎる。シャムロックを鼻で笑い飛ばせる()()だ。
 この分でいくと、マーシャルが言う『アムネリダ達』と『ヴェラーナ』も彼女達並みの実力者なのだろう。

(私の周りに、そんな名前の人は居ない。けど、私をヴェッラティーナ? マーシャルさん自身をウィリアー? って異国の言葉で呼んでるから、多分『ヴェラーナ』も『アムネリダ』も、それぞれ個人の名前じゃなくて立場か何かを示してるんだわ。喧嘩別れした『ヴェラーナ』は、アーレスト神父が相談に乗ってたネアウィック村の人で、マーシャルさんと『ヴェラーナ』と『アムネリダ達』を合わせた全員が『あいつら』?
 ……っていうか……海賊に加えて、イオーネとやらもマーシャルさんも、当然、私の身近に居るらしい他の『あいつら』も知ってるって話よね……)

「どこまで広まってるのよ、シャムロックの正体!」

 シャムロックの時は毎回男装して、頭にバンダナを巻き、手袋も着けて、顔の下半分は常にスカーフで覆い隠していた。
 身長の低さだけは厚底の靴を履いてもどうしようもなかったが、それでも隠し切れてると思ってたのに……よもや、村の住民にまでバレていたとは。
 海原へと投げた網を回収したら穴だらけだった、くらいの衝撃と虚しさに襲われた気分だ。

「ご心配なく。今はまだごく一部の方々しか知りませんよ。ですが、怪盗を続けていれば時間の問題でした。貴女の体には印が付いていますからね」
「印?」

 ミートリッテは、遠目にも近目にもこれといって変わった身体的特徴など持ち合わせていない。どこをどう見ても、普通の一般民だ。
 何の話だ、と自分の両手のひらを見比べて首を傾げると、アーレストがいかにも可愛いものを見たと言いたげな笑いを溢した。

「マーマレード」
「へ?」
「貴女の体には微かな潮の香りとオレンジの香りが染み付いているんです。生産者か、よほどの愛好家でない限り、これほど強くは匂わないでしょう」
「……あ!」

 匂い。
 マーマレードの……柑橘系特有の、爽やかで甘い香り。

 ミートリ
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