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魔女に乾杯!
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第七十話

                  第七十話  決戦の前に
「華奈子ちゃん」
 クラスメイト達は華奈子にまた視線を集めてきた。
「本当に今回はでずっぱりで悪いけれど」
「いいわよ」
 華奈子はにこやかに笑ってそれに返した。
「騎馬戦もよね。わかってるわ」
「お願いできるかしら」
「身体を動かすことなら任せて」
 そしてにこやかな笑みのまま言う。
「承知のうえでやってるんだし」
「悪いわね」
「だからそんなのいいって」
 また笑った。
「こうして競技に勝つのが心から楽しいんだし。あたし美奈子と違って勉強は全然だしね。せめてこういうところでいいところ見せないと」
「けど華奈子ちゃんには魔法があるじゃない」
「魔法っていっても不器用なものよ」
 相変わらず飾り気のない返答であった。
「火の魔法ばっかりだけれどそれだってまだまだ下手だし」
「そうなの」
「だからこういうので頑張らないとね。これでも張り切ってるんだから」
「それじゃあ頼りにしてもいいね」
「勿論」
 ドンと胸を叩く。残念ながらその胸はまだまだ小さい。
「任せておいてよ。騎馬戦でもどんどんやっちゃうから」
「けど無理はしないでね」
「焦ったら駄目よ」
「何だ、信頼ないのね」
「いや、そうじゃなくて」
「華奈子ちゃん無鉄砲なところもあるし」
「ちぇっ」
 クラスメイト達の言葉にむくれた顔を作った。
「どうであたしは。無鉄砲ですよーーーだ」
「わかってるなら注意する」
「・・・・・・はい」
 別のしっかり者で知られるクラスメイトに言われてうなだれる。
「華奈子ちゃんが頼りなのは事実なんだから。しっかりしてよ」
「わかりました。それじゃ」
「健闘を期待するわ」
「ええ」
 そしてリレーと障害物リレーに参加した。こちらは何なくトップになった。やはり華奈子はアンカーとして活躍し無事クラスに勝利をもたらしたのであった。
「リレーはこれでいいわね」
「うん」
 そしてクラスメイト達と話す。
「それじゃあ次は」
「いよいよね」
「そうね」
 最後の決戦に目を向ける。泣いても笑ってもそれが最後である。
「いいかな」
「いいよ」
 そしてグラウンドに入場する。こうして最後の戦いの幕が開こうとしていた。

第七十話   完


                   2005・12・1



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