第十八話 沖ノ島攻略作戦(プロローグ)
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確信が持てなかったんです。」
榛名が謝った。
「いいえ、私の表現の仕方が悪かったんです。でも・・・・。」
紀伊はここである疑問に行き当った。
「でも・・・・それはありえないことではないのですか?少なくともお二人は私より数年前には、もう艦娘として就役していたはずです。(このことは呉鎮守府第七艦隊に着任し、しばらくたった後に榛名から聞いたのだ。)そんなにも長くあの人が同じところにとどまるというのは、ありえることでしょうか?」
紀伊が葵を見た時、彼女は20代後半のように見えた。だが、榛名や霧島の言葉通りとするならば、20代そこそこでもう横須賀鎮守府の今の任務に就いていたことになる。そんなことがありえるのだろうか。
「姉様。」
いつの間にか讃岐が並走していた。
「そろそろ艦載機の発艦予定地点です。どうなさいますか?」
紀伊は上空を見た。無数の艦載機が上空を編隊を組んで飛行している。各艦隊には十分な数の援護戦闘機及び攻撃隊が護衛についている。この第二艦隊についても数十機の直援機が上空に配備されて警戒態勢をとっている。
また、第一艦隊の抜錨と前後して沖ノ島攻撃隊が二波向かっている。つまり先鋒の第一艦隊が沖ノ島に到着した時には既に司令中枢艦隊には少なからぬ打撃が与えられていることとなる予定であった。
「榛名さん、どうしますか?今この地点から発艦しても、航続距離や戦闘時間は作戦終了まで十分な余裕はあります。」
「発艦をお願いします。充分な用心はするに越したことはありませんから。」
「はい。讃岐。」
「はい、姉様!わかってますって!いっくわよ〜〜〜!!」
紀伊と讃岐はそれぞれ飛行甲板を構えると、開口部から次々と機を大空に飛ばし続けた。
飛ばし続けながら紀伊は思っていた。
(これだけの航空兵力があれば、今回は私たちの役目は艦隊決戦というよりも残敵掃討の色合いが強いかもしれない。でも・・・・。)
紀伊は南西諸島で感じた時のあの胸騒ぎについては今は覚えていない。代わりに感じるのは何か歯がゆいような思いだった。
(航空戦闘によってすべてが決せられるのなら、確かに人的被害は少なくなる。でも、そうなれば私たちの存在意義は?私たちの役割は戦うこと・・・・。それを取り上げられたとき、私たちはどうなるの?)
この時紀伊は自らの存在意義を、そして、それの帰結する終着点を考え始めていた。目前の戦いの前途への安堵と遠い将来に降りかかるであろう危機。相反する矛盾をはらんだ思いを抱えたまま、紀伊は沖ノ島を目指して走り続けていた。
そしてその1時間後、ついに沖ノ島海域で最初の砲声が起こった。十分な航空兵力に掩護された矢矧率いる第一水雷戦隊が敵の哨戒艦隊と接触したのである。
「撃て!!」
矢矧が叫んだ。たちまち、敵味方の周辺に激しい砲声がとどろき、水柱が
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