第45話 脅迫
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見ていることしか出来なかった。
ここで真偽を確かめてしまえば、楽になるだろうか?
だが、決定的な決裂を意味することにならないだろうか?
研究者としての木山が様々な可能性を浮上させては消去を繰り返す。
この少年は、本当に信用して良いものか......
折角のチャンスであるが、これは賭けに近い。
表面上では、教え子を助ける事と引き換えに『ゼツ』という協力者の情報の譲渡という取引が成立している。
だが、裏までは分からない。
信じていた研究に教え子を奪われた木山は、迷いから唇を軽く噛み締めた。
「ふぅ......倒しきれなかったか......」
サソリが静かに伸びをして、立ち上がった。
首をポキポキと鳴らしながら、木山の異変に気付いたサソリは首を傾げた。
「どうした?」
「......」
わずかに口を動かすが、言葉に成らない。
「?」
サソリは、木山に近づこうとするが反射的に木山は後方へと退いた。
サソリは終始驚きの表情を浮かべていたが、やがて半眼になると木山を見下したように溜息を吐き出した。
「はあ......お前さ......教え子を助けたいの、助けたくないのどっちだよ」
「わ、私は......」
「何考えているか知らねーけど。ここで怖気付くんだったら、足手まといだからくんな。オレ独りでやる」
突き放すように、サソリは木山に言い放った。
「!?」
「ちっ!」
「ま、待ってくれ......」
木山は去ろうとするサソリの手を掴んだ。それは大人の女性としての握力ではなく、何かに怯える子供のように震えていた。
「?!」
サソリは振り払うこともせずに、掴まれたまま木山と向き合った。
「き、君は......何者だ?」
「!!」
サソリの殺気が一段と強くなった。周囲の空気に亀裂が走ったかのように鋭敏となり、木山の肺を切り刻まんばかりだ。
「どこからだ?」
「?」
「どこからその疑問が生じた?と訊いている」
木山は、初めて自分が相対している者が唯の少年ではないと悟った。
何か返答を間違えたら、自分の首が飛ぶかもしれない恐怖。
あの時と同じ、レベルアッパーを発案した時と同じ感覚に陥った。
硬直したかのように固まった木山にサソリは、ゆっくりと木山の腕を屈曲させながら近づくと深紅に煌る万華鏡写輪眼で木山を捉えた。
気が付けば木山は、大量の傀儡人形に囚われて拘束されていた。
「こ、ここは?」
ガチャりと傀儡人形を解こうとするが女性の力ではどうすることも出来ず、身体を揺り動かすだけだった。
「なるほど......初期設定はそうなるのか......」
全ての色が反転したかのような景色の中で燃えるような青色の燐光が集まりだして、サ
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