二話:宿題
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転換についていけない』
自分が今まで握っていた腕を優しく擦ってくれる姿に嬉しさ以上に狂気を感じ顔が引きつる。
今までも遠くに感じていた存在が今や地球の裏側レベルにまで遠く感じられるのだった。
「……ふふふ、冗談ですよ。お姉様の慌てようが面白かっただけです」
『ああ、安心した』
「それに…お姉様の隣にいられないのなら、こうすればいいだけですから」
そう言ってブリュンヒルデはジャンヌ・オルタの背後から抱き着く。
隣が無ければ後ろに立てばいいじゃない、という考えである。
「だから、鬱陶しいって言ってるでしょ!」
「大丈夫です。私はお姉様の後ろに居ます。朝も、昼も、夜も、ずっと、ずっーと」
『守護霊かな?』
「どっちかと言うと背後霊でしょ、これ!」
堂々とした後方警備の宣言に肝を冷やしながら払いのけようとするジャンヌ・オルタ。
しかし、どう足掻いても離れないのに諦めたのか大きく息を吐き肩を落とす。
「ああ…もういいわ。今日は帰るわ。それと隣でいいから背後にいるのやめなさい」
「お姉様……そういうところが素敵です」
「抱き着くのは認めてない!!」
今度は隣から抱き着いてくるブリュンヒルデを引きはがしながら今度はぐだ男を見る。
何事かと首を捻る彼に対して彼女はぶっきらぼうに目を逸らして呟く。
「その……悪かったわね」
『なにが?』
「何って……腕引っ張ったことよ…」
酷く苦々し気な顔をしているのはやはり彼女が素直でないからだろう。
しかし、腕を引っ張られたことは嬉しかったので問題はない。
『いいよ、別に。気にしてないから』
笑って気にしていないと告げるぐだ男。
その笑みに彼女はどういった顔をすれば分からないような表情を浮かべそっぽを向く。
「そ……なら、いいわ」
それだけ言い残しブリュンヒルデと共に図書室から出ていく。
そんな彼女の首筋が心なしかいつもより赤いような気がしたのは彼の気のせいだろうか。
「良い話のところ悪いですが、図書室で騒ぐ人にはそれ相応の罰を」
「「あ―――」」
彼らは綺麗に纏まる話など滅多にないのだとこの日メドゥーサに教わったのだった。
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