二話:宿題
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必要な部分を紙にメモしていく。
ペンが走る音と時計の針の進む音だけが静寂を破る。
そんな作業を一時間ほど続けたところで隣に誰かが来た気配を感じ顔を上げる。
「隣座るわよ」
『どうぞ』
自分と同じような本を抱えているので目的は同じなのだろう。
しかし、先程まで別の場所で作業をしていたはずだと首をひねるぐだ男。
その理由は続いて隣に来た人物で明らかになるのだった。
「隣……」
『どうぞ』
「…お姉様の隣を取るなんて……困ります」
『え?』
ブリュンヒルデの凍えるように冷たい言葉に反射的に隣を見る。
してやったりといった顔のジャンヌ・オルタ。
ジャンヌ・オルタが座っているのは机の端。そして隣には自分。
要するにブリュンヒルデはジャンヌ・オルタの隣に座れないのだ。
『席、代わろうか?』
「あら、その必要はないわ。席はまだ空いているんですもの」
『いや、でも殺意のこもった視線が……』
「い、い、か、ら! あんたは黙ってそこに座っておきなさい!」
身の危険を感じサッと立ち上がるぐだ男。
しかし、ジャンヌ・オルタは余程自身が作ったアドバンテージを崩したくないらしく。
ガッチリとぐだ男の右腕を掴んで放さない。
密着する肌に思わずぐだ男の心臓は跳ね上がる。
「ぐだ男さん…?」
『不可抗力です。離してください!』
ジャンヌ・オルタから触れられたことが余程羨ましいのかブリュンヒルデの目から光が消える。
ぐだ男の左腕を掴んで引き離すように引っ張る。
明確な殺意を込められた腕の力にぐだ男の心臓がさらに跳ね上がる。
『メドゥーサさん、助けて!』
助けを求め縊り殺される鶏のような声を出す。
美少女二人に腕をひかれ奪い合いをされる夢のシュチュエーション。
しかし、その実態は生贄or想い人につく蟲扱いである。
「どうかしましたか?」
『体が割けるチーズになる五秒前』
声を聞きつけて来てくれたメドゥーサに簡潔に状況を伝える。
それだけで状況を理解したのかメドゥーサは頷いて口を開く。
「なるほど、先に離した方が母親というわけですか」
『大岡裁き!?』
「はぁ!? だ、誰がこいつの母親なのよ!」
メドゥーサのジョークなのか真剣なのか分からない言葉に思わず手を離すジャンヌ・オルタ。
そのことにしまったという顔をするがもう遅い。
しかし、ブリュンヒルデは固まったまま動くことはなかった。
「お姉様の子供…? つまり―――私達の息子」
「なんでそうなるのよ!?」
『斜め上の解釈だなぁ』
想像をはるかに超えるリアクションに場が騒然とする。
「ごめんなさい。痛かったですよね」
『ごめん、急すぎる方向
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