二話:宿題
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っと新しい扉が開けます」
「ちょ、そんなのどこで見つけてきたのよ! 主人公×ヒロインってこの主人公どう見ても女じゃない!?」
「愛さえあればどんな壁も乗り越えられます。そうです、例え性別の壁だとしても」
「その壁は超えちゃいけないやつでしょ!」
そっとドアを閉めるぐだ男。彼は何も見ていない。
そう、絵本のような柄でどこか見覚えのある少女とマシュに似た少女が絡み合った本など。
丸の中に刻まれた18という文字など見えなかったのだ。
「どうされましたか。こんな場所に立ち止まって」
『うわ! ……よかった、メドゥーサさんか』
突如として後ろから声を掛けられて飛び跳ねるぐだ男。
そんな様子に無表情で首をひねるのは三年生のメドゥーサである。
女性らしい体つきと大人びた見た目からは想像できないが三姉妹の末っ子らしい。
もっとも、二人の姉の話をするときは何故か遠い目をするのだが。
「入らないのですか? 鍵はすでに開けられているはずですが」
『中に入りづらいというか……入るのを戸惑うような人が居るような』
「図書室で騒ぐ人ですか? それはいけませんね。図書委員として叱っておかなければ」
ぐだ男と入れ替わりメドゥーサが扉に手をかけ勢いよく開ける。
「はぁはぁ…お姉様の体温…お姉様の鼓動…もう我慢できません」
「押し倒すな! どけ! 今すぐどけ! そして変なところを撫でるなッ!」
「あぁ…そんなに激しくされたら……困ります」
二人の絡み合う美少女。どちらが上でどちらが下かは言わなくともわかるだろう。
必死に抵抗するジャンヌ・オルタだがブリュンヒルデはそれすらも快楽として受け入れる。
その百合の咲き誇る光景に顔を赤らめながらも目を離せないぐだ男。
一方のメドゥーサは無言で二人に近づき眼鏡を外す。
「図書室ではお静かに」
「うっ……」
「あ……」
背を向けられた状態なのでぐだ男には理由が分からないが二人の体が固まる。
まるで蛇に睨まれた蛙のような二人。
その様子にもう大丈夫だろうと考え溜息を吐きながら本を探しに入る。
ジャンヌ・オルタの肌蹴たシャツの下に覗く白磁の肌をチラリと見ながらだが。
「因みに私はそちらもありだと思いますが、時と場所を考えてください」
「はい。今度は誰にも邪魔されない場所でお姉様と…はぁはぁ」
「少しは私の気持ちを考えなさいよ!」
何やら会話が聞こえてくる気がするが自分は何も聞いていない。
地蔵のような悟った顔を浮かべて、自分にそう言い聞かせながらぐだ男は本を探すのだった。
『これでも読んでみよう』
適当な本を見繕い窓際に備えられた机に座る。
そこから先は沈黙での作業だ。本を読み進め、
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