第16話(1章終了)
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
から一緒にいて……お祖父様がどれだけラインフォルトに愛着を持っていたか知っているつもりです。なのにどうして母様に奪われるまま会長の座を明け渡したのか……――――ラインフォルトグループを愛していたからこそだったんですね?」
「……その通りじゃ。この数十年、導力革命を受けて皆に必要なものを造り続けてきた。鉄道や照明、導力車に飛行船、戦車や銃ですら後悔はない。しかし―――5年前に造り上げた”列車砲”だけは話が別じゃった。」
「………………はい………………」
「………………………」
どこか後悔がある様子を見せて呟いたグエンの言葉にアリサは静かに頷き、ゼクス中将は重々しい様子を纏って黙り込んだ。
「中将殿には申し訳ないが……あれはただの”虐殺装置”じゃ。狙える地点が限られている以上、戦術的な性能は無きに等しい。ただ、無辜のクロスベル市民を人質に取るだけの大量破壊兵器……共和国軍のクロスベル占領を牽制するだけの戦略的な装置。それ以上でも、以下でもない。」
「……耳に痛い話です。」
「娘が軍から受けた注文とはいえ、その完成に関わった人間としてワシは怖くなってしまった……いつの間に、モノを作る人間としての”魂”を売り渡していたのかとな。だから―――娘の会長就任を機にいったんラインフォルトを離れた。どこで間違ったのかを探るために……何が正しいのかを見極めるためにな。」
「お祖父様……やはり当分の間、お戻りになる気はないんですね。」
グエンの決意を知ったアリサは残念そうな表情をした。
「うむ、お前には悪いがこの5年で更に決意は固まった。娘の采配もそうじゃが、ラインフォルトを取り巻く環境はあまりに大きく変わりすぎている。―――”中”の事は娘に任せた。ワシは”外”からラインフォルトの進むべき道を見極めさせてもらおう。」
「………………」
「……大旦那様……」
グエンの決意を聞いたアリサとシャロンは静かにグエンを見つめた。
「フフ……”トールズ士官学院”はとてもいい環境だと思うぞ。」
「え……」
「様々な立場の仲間達と協力し、共に壁を乗り越えることで……今まで見えていなかった風景が見えてくる可能性もあるじゃろう。今回の一件のようにな。」
「……はい。私も―――お祖父様や母様とは別の視点を持ってみようと思います。ラインフォルトの名を継ぐ者として。―――何よりも、私が私であるために。」
「うむ、よく言った。リィン、ガイウス、ユーシス、それにレンちゃん。どうかこれからも孫娘と仲良くしてやってくれ。」
「ええ―――もちろん。」
「うふふ、レン達に任せて。」
「……喜んで。」
「まあ、いいだろう。」
そしてグエンの頼みにリィン達はそれぞれ力
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ