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魔女に乾杯!
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第六十八話

               第六十八話   美奈子の苦悩
「くっ」
 美奈子はそんな他のクラスを見て口惜しそうな表情を浮かべていた。彼女のクラスには魔法を使える者が一人もいないのである。
「これは仕方ないわよ」
 美奈子のクラスメイト達が言った。
「うちのクラス魔法使える人いないから」
「これは諦めるしかないわね」
「魔法、ね」
 美奈子はそれを聞いて呟いた。
(使えたらよかったのに)
 心の中でも呟いた。そして歯噛みする。
(でもここじゃ)
「美奈子ちゃん」
 一人心の中で呟く彼女にクラスメイト達が声をかけてきた。
「何?」
「私達は私達で頑張りましょう」
「私達で」
「魔法なんか使わなくてもね」
「そうそう。こっちには魔法がなくてもそれと同じ位凄いのがあるし」
「それって何?」
「音楽よ」
 彼女達は言った。
「美奈子ちゃんの音楽よ」
「頼りにしてるわよ、それで頑張って」
「うん」
 美奈子はそれに頷いた。そしてフルートを手にとった。
「それじゃあいくね」
「お願いね」
 クラスメイト達は身構えた。そして美奈子は笛を奏ではじめた。 
 美奈子のクラスはそれに乗り動きはじめた。その動きはそれまでに比して見違える程華麗になっていた。
「うわ、凄い動き」
 それは華奈子のクラスからも見えた。皆それを見て驚きを隠せない。
「これは勝てないかもよ」
「うん。それに音楽もいいし」
「そうね。この曲」
 華奈子は曲を聴きながら呟いた。
「何て曲だろ」
「こうもりの序曲よ」
「こうもりの」
 クラスメイトの一人が言った。
「確かオペレッタの最初の曲だったわよね」
「あ、この前教科書に載ってたね。作曲者はシュトラウス」
「そうだったの」
「そうだったのって」
 あまりと言えばあまりな華奈子の言葉に流石に呆れてしまった。
「華奈子ちゃんって本当に勉強は駄目なんだから」
「自分のお姉さんのことでもあるでしょ。もっとしっかりしてよ」
「いやあ、御免御免」
 そうは言ってもやはり勉強には頭が回らない華奈子であった。
 そのかわり応援には力が入っていた。彼女だけでなく他の四人、そして美奈子も動きを激しさと躍動感、そして華麗さを増していく。応援は激しくなる一方であった。
 応援合戦が終わった。そして判定となった。得点が今発表されようとしている。華奈子達は息を飲んだ。


第六十八話   完

                  2005・11・24


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