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第六十六話
第六十六話 応援
三人との勝負は全て午前中のことであった。午後はそれとは別に勝負があった。
応援である。これには五人だけでなく美奈子まで参加していた。六人はそれぞれチアガールの服を着て応援合戦をすることになった。
「これでも負けないからね」
華奈子はそう言いながら他の五人のチームを見据えていた。
「皆、やるわよ」
そして今度はクラスメイトに顔を向けてきた。
「応援でも勝って、一気に得点をあげるわよ」
「華奈子ちゃん、それはいいけれど」
「何?」
「服装違うよ」
「あっ」
見れば華奈子は詰襟であった。だが実は色々な事情があってこのクラスでは女子は両方することになっていたのであった。華奈子達はチアガール担当であったのだ。
「御免御免」
「気をつけてよね」
クラスメイト達はそんな彼女を注意する。
「こっからが肝心なんだから」
「言いだしっぺは華奈子ちゃんなんだし」
「そうだったね」
そう言いながら照れ臭そうに頭をかく。
「こっちの切り札なんだから。今は見せちゃ駄目」
「うん」
「ここぞという時に派手にいかないとね」
「そうね」
どうやら彼女達は彼女達で何か考えているようである。そして遂に応援がはじまった。
梨花のチームは梨花のバトンテクニックで見せた。美樹のクラスは彼女の卓越した跳躍力を使って派手な演技を披露する。
赤音のクラスは先の二つのクラスとは違って赤音のパントマイムを使った。その見事さから彼女は姉から指南を受けたのだとすぐにわかった。
「お姉ちゃんのおかげか」
華奈子はそれを見て呟いた。どうやら運動神経はあまりなくとも赤音は演技力はあるらしい。見事なパントマイムであった。
そして美奈子のクラスは美奈子が音楽を奏でる。笛の音色に合わせて詰襟の男子もチアガールの女子も見事な動きを見せる。
「美奈子の奴」
それを見て華奈子は危険を感じた。
「音楽を使うなんて。やってくれるじゃない」
「けれど綺麗よね」
「本当。他の三つのクラスも。こりゃうちも負けてられないわよ」
「ええ」
華奈子はクラスメイト達の言葉に頷いた。
「やってやるんだから」
「あっちも凄いしね」
今度は春奈のクラスに顔を向ける。
「うっ」
そこに目をやりまたしても華奈子の対抗心が燃え上がった。
「やるじゃない、春奈ちゃん」
俄然やる気が出て来た。それを見ただけで燃え上がる。
「まさかそれをやるなんて」
「凄いわね」
「本当に」
クラスメイト達もうなっていた。それだけのものがあった。春奈もまた切り札を出していたのであった。
第六十六話 完
2005・11・17
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