65部分:第六十四話
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第六十四話
第六十四話 障害物競走
障害物競走の準備が整った。華奈子と美樹はそれぞれのクラスの列にいた。そしてそこから互いに睨み合っていた。
「負けないから」
二人は同じことを思っていた。絶対に負けたくない、その思いは同じだった。そして競技に挑んだのであった。
いよいよはじまる。二人は同じレースになった。それがさらに対決を深めた。
「位置について」
先生の声が響く。二人はそれを受けて構えに入る。
「用意」
脚に力を込める。待つ一瞬の時が永遠に感じられた。
銃が鳴った。そして飛び出す。まずは美樹が出て来た。
「脚の速さなら華奈子ちゃんにも負けないわよ」
美樹は走りながら思った。走っていて今日は調子がいいことに気付いた。これならいける、その時は確かにそう思った。確信していた。
その速さが続いていた。美樹はそれを頼りに進む。しかし彼女は自分のことだけを見ていた。華奈子のことを見てはいなかったのだ。
華奈子も速かった。そして彼女はそれだけではなかった。美樹以上の跳躍力を見せてハードルを跳び越えていた。それは美樹の跳躍よりも遥かに上であった。
「なっ・・・・・・」
美樹は華奈子のその跳躍を見て絶句した。上にも、前にも自分のそれなぞ比較にもならない程見事なものであった。彼女はそれを見て思わず息を飲んだ。
だが動きにそれは影響させまいとした。そしてそれは成功した。美樹はその速さを維持して前に進む。だが跳躍力の差は如何ともし難いものがあった。
結局ゴールに先に到達したのは華奈子の方だった。彼女はその茶色の髪をたなびかせてテープを突っ切った。彼女はまたしても勝利を収めたのであった。
「負けたわ」
二番目に入って来たのは美樹であった。彼女はゴールに入ると隣にいる華奈子に対してこう言った。
「まさかあんなにジャンプ力があるなんて」
「あたしバネも凄いんだから」
華奈子は胸を張ってこう言った。
「それには気付かなかったみたいね」
「脚の長さでいけると思ったのだけど」
美樹は自分の長い脚を見ながら口惜しそうに言う。
「背だって私の方が高いし。それなのに」
「スポーツは体格じゃないよ」
それに対する華奈子の返答はこうであった。
「運動神経なんだから」
「そうだね」
残念だがその通りであった。美樹は華奈子のその抜群の運動神経の前に敗れたのであった。
「さてと、次は」
華奈子は自分のクラスの席に戻った。そして次に自分が出る競技について調べた。
「仮装競争?また変なのだね」
「うちのクラスはお姫様の格好よ」
クラスメイトの一人がこう言った。
「お姫様」
「そう。だから頑張ってね、華奈子ちゃん」
「うん」
何か今一つ訳がわからない
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