64部分:第六十三話
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第六十三話
第六十三話 徒競走
運動会当日となった。開会式の後華奈子達はそれぞれのクラスに別れた。そして競い合うこととなった。
「うちのクラスは安心だよね」
華奈子のクラスでは皆そう囁き合っていた。
「華奈子ちゃん、頼むよ」
「任せといて」
体操服に半ズボンの華奈子が胸を張ってそれに答える。この学校の体操服は男の子も女の子も半ズボンであった。それが華奈子によく似合っていた。
「どんな競技でも。一番になってみせるから」
「頼むよ」
「梨花ちゃんや美樹ちゃんに負けないでね」
「運動で負けるわけにはいかないわよ」
華奈子は笑ってこう言った。
「運動なら。誰にも負けないわよ」
「期待してるわよ」
「それじゃあね」
「うん」
華奈子は頷いた。そして早速一〇〇メートル走に出た。これには梨花が出ていた。
「負けないわよ、華奈子ちゃん」
「こっちこそ」
二人は火花を散らし合った。そして構えに入る。
ピストルが鳴った。そして同時に飛び出た。二人の速さはほぼ互角であった。
しかし華奈子の方がほんの僅かだが速かった。そしてその差が走る程如実に表われてきた。
一〇〇メートルが終わった時にゴールにいたのは華奈子だった。彼女は予想もできない程の速さでそこにいたのであった。勝負は一瞬のことではあったがそこにははっきりとした力の差があった。
「負けたわ」
一瞬であったがはっきりと分かれた形で梨花がゴールに入って来た。そして華奈子に対して言う。
「また速くなったわね」
「ええ。努力してたから」
華奈子はにこりと笑ってこう返した。
「これでも毎日走ってるのよ」
「そうだったの」
「だからね。誰にだって負けないんだから」
「強気ね」
「当たり前よ。スポーツなら誰にも負けないわよ」
「それじゃあ他の競技も勝てるのね」
「勿論よ」
華奈子は新しく出て来た声にも応えた。その声の主は美樹であった。
「じゃあ次は私とね」
美樹は不敵に笑ってこう言った。
「二〇〇メートル障害物競走。勝てるかしら」
見れば美樹の脚はかなり長かった。半ズボンから出ているその脚は長く、それでいてスラリとしていた。その脚を見ただけで彼女もまた運動がかなり得意であるのがわかった。
「勿論よ」
だが華奈子は臆することなく言い返した。
「どんな競技でも。勝ってみせるわ」
生来の負けん気が出て来た。華奈子は燃えていた。
「美樹ちゃん、勝ってみせるわ」
「じゃあこっちも」
美樹も引くつもりはなかった。不敵に笑った。
「勝つのは私よ」
「負けないからね」
一つの勝負が終わってすぐに新しい勝負がはじまろうとしていた。今少女達は火花を散らしていた。
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