第三話 大体ここまでがプロローグ
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日記や漫画、趣味嗜好の本くらいしかない。
窓から差し込む光が漂うほこりを輝かせている。
「・・・それで、あんたはこれからどうすんの」
「とりあえず雇ってください。お金も家もないのです」
「お金なんてここにはないけどね」
フッと息を吐き強く足を踏む。カンッと下駄がなり、空中島が揺れ始めた。
「え?なにこれ」
「落ちるよ」
空中島は落下を始めていた。
空中島が大きく唸りながら降下していく。
雲を吹き飛ばしながらゆっくりと、高天原西部に着地した。引き起こされた爆風は建物を吹き飛ばし、揺り動かされた地面は耐えたものたちをくじかせる。だがそれらは一瞬で元通りになった。
「ほへぇ」
「おもしろいでしょ。壊れても壊れないんだ」
潰された部分は元通りにならず砂煙は鰯になり、建物はマンタになり空を泳ぎだし、空を覆った。
「お」
雀の足元がグニグニと動き出した。
「ほら、はなれるよ!」
猫又が雀の腕を引き空中島から屋根の上へと飛び乗った。
空中島は徐々に黒く形を変えていき、二匹の鯨に変わり、雲を吐き出し空へ泳いで行った。
「ほほう」
「海がないからね、代わりに空を泳ぐんだ」
「それ、理屈になってます?」
マンタたちが群れを作り空を横断していく。つぶされた箇所には木が生えていき、建物の三階部分まで伸びていき、色とりどりな鳥が羽ばたいていった。
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ここは高天原。空には鳥が飛び、魚が泳ぐ。私、西宮雀は西側領地の『猫又食堂』でアルバイトをしています。中心部から徒歩一時間十分という立地ではありますが、地下妖力車が通り、それなりに人通りがあります。ですが客足は全くありません。だって、考えてください。その土地、もとい世界の重役トップ5のうちの一人が経営するお店。とっても入りづらいですよね?
そんなわけで店内外を箒で軽く掃き、あとはカウンターで居眠りするのが私の日課です。
そんなわけで今日も箒タイムがやってくるわけなのでした。
「あ、四丁目の達磨さん、おでかけですか?」
「おう、ちいと北までね」
「そらへびさん、最近また、ながくなりました?」
「3cmほどねー」
3か月もここにいると並たいていのことでは驚かなくなりました。
「あ、ドラキュラさん、お久しぶりです」和洋折衷。いい事ですね。
「すいません」と、私の耳に聞きなれない声が聞こえてきました。
「猫又さん、はいらっしゃいますか?」
卵みたいな体に手足がついているこのお方。童話でみたことのある・・・。そう、ハンプティーダンプティーです。
「はあ、ただいま外出中ですが」
「そうですか」すると、ハンプティダンプティの頭にひびが入り始めました。
「では、ハンプティ、ダンプティが、現れた、と、
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