第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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“アノ時” 背筋に疾走った怖気と戦慄の為
咄嗟に己を 「変貌」 させていなければ。
そして、眼前の惨状に眉一つ動かさず穏やかな口調でかけられた
まぁ待て、というDIOの言葉がなければ。
濁った紫色の火花をコルク栓を抜き取ったかのような切断面から
鮮血のように吐き出し続け、首と僅かな上半身を残して
柔らかなペルシャキリムの絨毯に転がっていた自分は、
間違いなく己が 「全身」 を消し飛ばされていただろう。
何故なら、そのとき既にこの男は、
先刻と同じように構えた二本の指を狂気の光で充たされたアッシュグレイの眼前に構え、
ソレを断頭台のように振り下ろそうとしていたのだから。
それが、『亜空の瘴気』 ヴァニラ・アイス。
統世王に絶対の忠信とそれに見合う極大なる能力を携えた
途轍もない存在。
「……ッ!」
シュドナイの強張る視線の先に位置したその男は、
充分に過去の「背景」を見据えた上でダークスーツの男を、
強大なる紅世の王である筈の“千変”を、
まるで虫ケラでも見るかのような表情で見据え
狂気の視線を通じて宣告した。
(つくづく学ばないヤツだ……貴様如き異界の虫ケラが……
DIO様に “そのような感情” を向けることなど赦されない……)
「ッッ!!」
突如見開かれたアッシュ・グレイの双眸が、
一際兇悪な光を放つ闇黒の視線が、
シュドナイを真正面から挿し貫く。
その心の裡で噴出する、ドス黒い精神の叫号。
“ブチ殺すぞッッ!! このド畜生がッッ!!”
そこでヴァニラ・アイスの、
ギリシア彫刻の如き犀利な美貌が何よりも残虐に歪んだ。
秀麗な芸術作品が、一瞬で狂った邪教徒の創造した
悍ましき偶像に変わったかのような、
正に凄惨なまでの変貌振りだった。
(クゥッ!? や、殺る、気か……ッッ!!)
絶対の「殺意」を向けられた “千変” シュドナイは、
頬に冷たい雫が伝うの感じながらも平静を装い
ヴァニラ・アイスに向かって一歩歩み寄る。
幾ら途轍もない 『能力』 を携える最強戦士だとはいえ、
自分もれっきとした紅世の“王”
その誇りも面子も、引くに引けない「理由」も在る。
それを開戦の合図だと解釈したヴァニラ・アイスは、
(ほう……下賤な貴様にしては良い 「覚悟」 だ……
ソレに免じ、一瞬で 『消し飛ばして』 やろう……)
即刻その男の断裁処刑を決意し、自分もシュドナイの方へとゆっくり歩み寄る。
最愛の主に、ほんの僅かでも薄汚い感情を向ける者は決して赦さない。
その 「矜恃」 の為になら 「死」 すらも覚悟しての行動だった。
そこへ、静謐に到来する楚楚たる声。
「
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