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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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下の美少女も同じく “紅世の王”
『三柱臣』 では 『大 御 巫(おおみかんなぎ)』 の役割を担う、
冠するその真名を 『(いただき)(くら)』 “ヘカテー” である。
 当然の事ながら、この両者は他の “徒” 等足下にも及ばない程
強大な存在の力を携えた恐るべき存在である。
 にも関わらず、“そうで在る筈のこの男が”
自分の僅か数メートルの距離に位置する
たった一人の「人間」に戦慄している。
 (さなが) ら、蛇に睨まれた蛙の如く。
 そう、決してシュドナイ自身が弱いわけではない。
 だが、彼の視線の先にいる白い肌の男、
『亜空の瘴気』 だけは、話が別次元の 「領域」 だったというだけだ。
 仮に、シュドナイがその “千変” たる力を如何に駆使しようとも、
この男ヴァニラ・アイスの刳り出す闇黒の 『能力』 の前には
そのスベテが文字通り跡形もなく “無” に還される。
「……ッッ!!」
 シュドナイの脳裡に甦る、己の存在に深く刻まれた 「屈辱」
 そして、その更に深奥に抉り込まれた未だ嘗てない 「恐怖」
 ソレは、ほんの数ヶ月前。
 永い時の中で苦楽を共にした同胞の協力により、
「探訪」 の自在法に拠ってようやくその居場所を探り当てた
『幽血の統世王』 その最初の邂逅時。
 まるで異次元空間のような深く永い回廊を抜け、
ようやく辿り着いた統世王の寝所にて。
 天蓋付きの豪奢なスーパーキングサイズのベッドの上、
半裸の姿のまま片膝を抱え込み、
妖艶な視線で既にこちらの来訪を予見していた存在に対し、
シュドナイが口走った言葉。


“アンタが 『DIO』 か?”


 その、たったの一言。
 いつものように挑発的な薄ら笑いを口元に浮かべ、
ベッドの上で佇む統世王にシュドナイがそう言い放った刹那。
 そのすぐ傍に控えていたこの男は、
自分が連れてきた配下の “徒” 数十名と 「己の半身」 を
音もなく一瞬で跡形もなく削り飛ばした。
(―――――――――――――――ッッッッッ!!!!!?????)
 ソノ時は、眼前の驚愕を認識するだけで精一杯で、
当然 “なにをされたか” は微塵も解らなかった。
 男が、ヴァニラ・アイスが執った行為は、
ただ目の前で構えた二本の指で、
鋭く空間を薙ぐ、というたったソレだけの行為。
 だが、たったのソレだけで、
屈強なる自分の配下の徒が(中には“王”もいた)
己が死んだコトすらも解らずに上半身を()ぎ飛ばされ、
遺った胴体からそれぞれ色彩の異なる炎を間歇泉のように噴き上げながら
存在の忘却の彼方へと消え去った。
 宛ら、今まで自分達がその存在を喰らってきた人間の成れの果て、
『トーチ』 で在るかのように。

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