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魔王の友を持つ魔王
§70 怠惰の魔王あとしまつ
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の方がいいかもね。だいぶ変わってるみたいだし」

 でも普通わかるでしょ、と呆れつつパンドラが離れていく。

「まーそろっと限界だからお別れだけど、頑張んなさい」

 そんな会話をしたのが、何日か前の話だ。打倒魚神、という目標を掲げたまでは良かった。良かったのだが――――



「で、こうなると」

 嘆息する黎斗は砕け散ったドアを跨いで部屋を出る。鮮血と鉄塊、悪臭に包まれた廊下をひたすら歩き。通路を屠殺場という非日常空間に変えていた二人と合流を果たす。探索どころか雑魚狩りしかここ半月出来てないんですが。ホントどうしてこうなった。黎斗が能力を失った、と知った輩の襲撃が止まらない。だいたいドニが言いふらしたせいだ。「黎斗ってば権能封印されちゃってさ。ちっちゃくなっちゃってるんだ!!!」なんて笑い話にしていればさもありなん。

「……正直、かつての自分を見ているようで恥ずかしい限りです。神を弑した御身に我らが敵う筈などないというのに。権能が無い程度で王を打倒できるなど、なんという思い上がり」

 苦虫を潰したようなダヴィドが呻いた。ゴーレムに全ての戦闘をさせていた彼は返り血の一つも浴びていない。凄惨な光景であるにも関わらず、彼の振る舞いは優雅そのもの。堂々とした佇まいに一瞬ここがどこかわからなくなる。まぁ飛び散る肉塊が雰囲気を台無しにしているのだが。

「ってかさー。れーとさんワイヤーだけで叢雲ぼっこぼっこにしてたじゃん。剣の王様相手にしても戦えるんでしょたしか。普通に考えたら戦えるわけないじゃん。大体この人たち恵那達を瞬殺出来ない時点で……」

 呆れたように巫女服の少女が剣についた血糊を拭う。こちらは青年と異なり血塗れの巫女服だ。彼女の美貌と相まって危険な魅力を放っている。

「巫女殿よ。敢えて進言させていただけるのなら――――それでも。彼らは勝てると思っているのだよ。神獣を倒すことなら、聖ラファエロやパオラ卿。陸家の御曹司といないわけではないからな」

 それに異を唱える青年は、憐みを湛えた瞳でそれらを眺めて。

「権能が無い、つまりはただの聖騎士になら勝てると踏むのさ」

「聖騎士に勝つって。この人たちそんなに強くないよ? 恵那が無傷で切り抜けられるんだから多分エリカさんやリリアナさんでも無傷でしょ? で、二人ともたしか大騎士だったよね」

 大騎士にも歯が立たない存在がどうしてそんな無謀を考えるのか。恵那でなくてもそう思うだろう。

「それは比較対象が悪すぎるな。彼女たちを相手にしては可哀相だ」

 青年は肩を竦め苦笑するも。否定の言葉をそれに続ける。

「第一、彼らが十全の状況だったならば彼女達でも手こずっただろう。巫女殿や私でも無傷で突破とは至らなかったかもしれない。まぁ、私た
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