さすらう者
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という隙間を探索し、普段掃除しにくい箇所まで入り込む自律性を実現した画期的なルンバなのだ」
「そこまでは良かった。机の下とかタンスの隙間とか、色々綺麗になった。だがその後が駄目です。このルンバ、脱走しまくりです。何ですかドアを開ける機能とか」
「他の部屋も掃除できるだろ」
「……鍵開けるとか!この機能、必要ですか!?」
「あれ?ルンバが家出するの流行ってるんじゃないのか?ルンバ家出www可愛すぎwwwとかネットで見たぞ」
「結果的に屋外に出てしまうのは仕方がない。事故みたいなものです。でも機能として脱走するとかね…貴方も自宅にこのルンバ置いてみるがいい。ほんとイライラしますから」
「厭だ。家内にまた叱られる」
「俺も叱られましたよ!ついさっき!!」
ダン!と大きな音を立てて埃まみれのルンバが机に置かれた。
「すぐ見つかったろ?GPSついてるし」
「ええ、猛犬飼ってるご近所さんの軒下でね…俺、この後狂犬病の予防接種入ってます」
「おお、それはそれは…はははは」
「笑いごとじゃない!!!」
「そうか…商品名の候補まであったんだが」
「聞きたくありません」
「逃げルンバ」
「聞きたくないというのに!!」
「猛犬ねぇ…それは想定になかった。対策を講じねば」
「たった一つの対策は!これを発売しないことですよ!!」
「そうだ、危害を加える対象に反撃するシステム!!」
「聞いてんのか人の話!!」
「商品名…『暴れルンバ』」
「厭な予感しかしねぇよ!!」
―――こんな経緯を経て開発された新機能搭載ルンバだったが、鍵を開ける機能が『鍵を紛失した時の保険』として思いの外、人気を博することになった。鍵開け機能は携帯でオンオフ設定出来るようになり、うっかりオフにし忘れた『飼い主』達によって野良ルンバが道端を彷徨う光景が日常的なものとなる。
俺が土佐犬に噛まれたのも、無駄ではなかったわけか。…いや、無駄か。
小岩井博士は、俺が定年になるまでには必ずシメる。
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