機動戦艦ナデシコ
1407話
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らくお前と同じ力を持っているだろう奴を、だ」
『分かっています。ですが……いえ、だからこそ彼女を、あの子を逃がしてあげて下さい』
彼女? あの子? その言葉を聞く限りだと、まるで相手の事を知ってるように思える。それもルリよりも年下の相手のような、そんなイメージで。
「……詳しく話せ」
今のルリが11歳。それより年下となると、それこそ10歳以下という事になる。
下手をすれば、それこそまだ7歳、8歳といった子供や少女云々ではなく、幼児……いや、彼女とルリが言っていたのを思えば、幼女と呼ぶべきか。
『あの新型艦に乗っているのは、私よりも小さい子です』
「だから見逃せ、と? こうして戦場に出て来ている以上、当然ながら死ぬ覚悟というのはしてきている筈だ」
『まだ小さいあの子に、そんな判断が出来るとは思いません。恐らく強制的に戦場に連れてこられたんだと思います』
「……それでも敵は倒せる時に倒しておく必要があるのはルリにも分かると思うが? 今回見逃しても、それが結果として味方の被害を増やす事になる。それでも構わない、と?」
『それは……けど、あの子は……』
言い淀むルリが、俺の方へとじっと視線を向けてくる。
いつもは冷静というか、冷めているルリがここまで感情を露わにするのは珍しい。
どうするべきか……そう思っても、既に結論は出ている。
こうしてメガ・バスターキャノンの発射を止めた時点で見逃すと決めたようなものなのだから。
いざとなれば、ここからでも新型艦を攻撃する手段はある。それこそ、ブラックホール・ランチャーやファントム辺りであればまだ射程範囲内なのだから。
『いいじゃない、見逃してあげれば。ルリルリがお願いする事なんか滅多にないんだから、そのくらいは聞いてあげるのが男の甲斐性よ?』
ミナトが笑みを浮かべつつ告げてくるが、事はそういう問題じゃないんだけどな。
「これが俺の個人的な事なら、幾らでもルリのお願いくらい聞いてやるさ。けど、残念ながら今回の件は俺の個人的な事じゃない。それこそ、この世界の未来が懸かっていると言ってもいいんだぞ?」
この世界の未来というのは少し大袈裟かもしれないが、実際あの新型艦の能力を考えれば、それだけの性能を持っていると言ってもいい。
いや、より重要なのは、新型艦の性能ではなく、ルリの同類による能力か。
「あの新型艦が姿を現した場合、対抗出来るのは俺達シャドウミラー以外だとナデシコしかない。そして、次にどこにあの新型艦が攻めてくるかというのは、俺達じゃなくて向こうが決める事だ。それによって出た損害はどうする?」
損害という言葉に、映像モニタに映し出されていたプロスペクターの頬が引き攣っている様子が見える。
プロスペクターの性格を
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