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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第十七話 作戦開始日前日
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ふうと飛龍は息を吐いた。
「それじゃ開発はほぼ無理ってことか。」
「はい・・・・。」
しばらく3人は口を利かずに黙り込んでしまった。工廠内部の機械音だけが規則正しく音を立てている。
「やってみようよ。」
突然蒼龍が口を出した。
「開発するのには資材を消費しなくちゃならないし、時間もかかるかもしれないけれど、でも、敵の艦載機に対抗するのには新型機を開発しなくちゃならないんだもの。やってみようよ。」
「わかった。私が長門秘書官に申し出てみる。そうだよね、やってみなくちゃ、結果はわからないし、それ以前に、やるしかないんだものね。」
「うん。今度の海戦もそうよね。やるしか・・・ないんだものね。」
「お二人とも・・・・。」
大鳳は手を伸ばしかけて、それを下ろした。第二航空戦隊の二人はこれまで数々の戦いを乗り越えてきた名コンビだったが、それはあくまでも局地戦でのことである。今回のように戦略的にも戦術的にも今後の大勢を決するような大作戦に従事することはほぼ初めてといっていい。
 当然心理的にも肉体的にもかかる重圧は局地戦の比ではなく、大鳳としては二人がそれに耐えられるか否か不安を禁じ得なかった。
「大丈夫だよ。第二航空戦隊として前世からコンビを組んでる私たちだもの。どんな敵にだって後れは取らないわ。ね?」
「うん。その通り。だから大鳳、心配しないで。必ず帰ってくるから。」
「約束ですよ。」
大鳳の手と二人の手がしっかりと組み合わされた。

 このように、沖ノ島攻略作戦に従事する艦娘たちは各所でそれぞれの思いをはぐくんでいた。それはなにも大戦艦や正規空母に限ったことではなく、重巡戦隊以下の水上打撃部隊に所属する艦娘とても同じことだった。
 むしろ先鋒として真っ先に敵に突撃する分、彼女たちの方が不安が強かったのかもしれない。それは数々の戦いを潜り抜けてきた高雄と麻耶にとっても同じことだった。
「姉貴はどう思う?この戦いを。」
休養室の椅子に座っていた高雄はすぐには答えなかった。しばらく考えていた後、回転椅子に逆向きに座り、背もたれに体を預けている麻耶を見ていった。
「正念場というところね。もちろん戦いはまだまだ続くけれど、今回の戦いにつまずけば、私たちに後がなくなるわ。」
「そうか?アタシたちの方が今回に関しては有利だと思うけれどな。大和や武蔵も出るんだろ?それに主力正規空母も。それに基地航空隊からも掩護が出るっていうし。」
「重巡戦隊以下の陣容が薄いのよ。私はそれが心配なの。戦いは戦艦や空母だけで決まるものじゃないわ。近接戦闘や防空戦闘には護衛駆逐艦の存在が欠かせないし、水雷戦闘では指揮官である軽巡洋艦の統率が必要でしょう?そして、当然敵の軽巡や駆逐艦が肉薄してきたときに、また逆に敵陣に強行突撃を図るときに、その機動力と火
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