第十七話 作戦開始日前日
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っ!す、すみません。私は・・・・ごめんなさい、つい出しゃばって・・・・。」
紀伊は不意に我に返ったように赤くなった。
「いいえ。とてもありがたかったです。すぐにはできないかもしれませんが・・・・気持ちの整理をつけて、私、もう一度加賀さんと話してみます。そして正直に自分の気持ちをぶつけてみます。」
紀伊は励ますように強くうなずいて見せた。
「少しトレーニングしてきますね。もう一度気持ちの整理をしたいので。」
「はい。」
赤城はうなずき返して廊下に出かけたが、不意に振り向いた。
「紀伊さん。」
肩越しに、そして紀伊の真正面に振り返った赤城の姿はとても凛として美しかった。
「励まされたばかりの私がこういうことを言うのはおかしいのかもしれませんが、あなたはとても素晴らしい人です。あなたの周りには艦種を問わず多くの人が集まってきます。それは皆があなたを大好きだからです。前世の有無なんか気にしないで。まっすぐにひたむきに歩いてください。私も・・応援していますから。」
紀伊の眼が揺らいできらめいた。そして強くしっかりとうなずいていた。
赤城がその胸中を紀伊に吐露していたころ、三人の正規空母が司令部脇の工廠で話し合っていた。この横須賀鎮守府工廠は、そのままヤマト艦娘たち全体に配備される兵装や航空機、電探等の研究開発部門も兼ねている。
外から一歩工廠に入れば、そこは広大な空間だ。広さ数百平方メートル。天井までは約20メートル。その中に全長数十メートルはあろうかという巨大な起重機や、クレーン、ベルトコンベヤーが鎮座している。それらを縫うようにして様々な生産ラインが、しかし整然と並んでいるところは、あたかも連隊が整列しているかのようであり、大勢の妖精が日夜来るべき戦いに備えて生産を行っている。その生産ラインの奥に「研究開発部門」と書かれたドアがある、脇にはカードリーダー、そしてパスワードを打ち込むコンソールが設置されている。さらにここを開けても、さらに奥に鋼鉄製のドアがあり、ここには指紋認証装置が設置されている。ここにはある限られた艦娘や妖精たちしか立ち入りできないのだ。
入ってみれば、外の生産ラインと比べればずいぶんと狭い部屋である。天井は黒いむき出しの鋼材に照明がぶら下がっている。壁を覆いつくすように入り組んだダクトのような装置が設置されているかと思えば、大きな頑丈なテーブルには溶接機、工作機、PCなどが入り乱れておいてある。床にも様々な部品の屑が散らばっているかと思えば、隅に資材が雑然と置かれていたりするところは、外とこの空間とが同じ建物にあるとは思えないほどだ。工場の生産ラインの騒音も、防音装置のおかげでここにはほとんど聞こえてこない。周囲と隔絶していることを示していた。
「流石に烈風や流星は量産はできないか〜。」
やや残念そうに肩
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