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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第十七話 作戦開始日前日
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ぽつりと加賀はつぶやいていた。赤城が身じろぎするのが視界の隅に見えた。
「あなたの気持ちを何一つ理解できていなかったのだから。」
そして、それはあなたもなのかもしれない、と加賀は言葉をつづけた。
「私たちの気持ちは、いつ、どこですれ違ってしまったのかしらね。」
加賀は立ち上がった。
「少し時間を置きましょう。」
「加賀さん。」
赤城が呼びかけた時には、もう加賀の姿は消えていた。
「・・・・・・・。」
赤城の差し出しかけた腕が、膝に落ちたとき、廊下に足音がした。

 紀伊が開いたドアからそっと顔をのぞくと、赤城がうなだれた姿勢のまま椅子に座っていた。ただならぬ様子に紀伊は部屋に飛び込むようにして赤城のそばに膝をついた。
「どうしたんですか!?具合でも・・・・悪いのですか?」
閉じられていた赤城の瞼が重そうに震え、眼が開いた。
「紀伊・・・さん・・・。治ったのですか?良かった・・・。」
「私の事より、赤城さん、大丈夫ですか!?」
「いいえ・・・大丈夫です。」
紀伊は廊下に視線を向けたが、また赤城に目を戻した。
「さっき加賀さんと廊下ですれ違いました。表情がとても硬くて・・・青ざめていました。何かあったんですね?」
赤城は目を背け、深い溜息を吐いた。
「加賀さんは・・・あの人は、私を理解できないと、そういっていました。そして、私もまたあの人を理解していないとも。そうなのかもしれません。」
「あの時の・・・横須賀への航海の途上のことを言っているのですね?」
「主な原因はそうです。でもそれだけではないのかもしれません。紀伊さん・・・・。」
赤城は紀伊を向いた。
「あなたはあの時私に言ったことを覚えていますか?」
「はい。実はそれをお話に来たのです。あの時はごめんなさい。出過ぎたことを言ってしまって・・・・あの時は本当に申し訳ありませんでした。」
「いいえ。あなたが言ってくださったことをわたしも考えていました。そして、その通りだと思います。私は・・・あの子たちを信じることができていなかった。やはり私は・・・・一航戦の名にふさわしくないのかもしれません。」
紀伊はしばらく考えていたが、やがて一言言った。
「今思うと赤城さんらしい選択だったと思います。」
「私、らしい?」
意外な返答だったらしく赤城は戸惑った表情だった。
「はい。私はあの時ああいいましたが、赤城さんの意見に共感するところもあります。艦載機は捨て駒ではありません。それを平然と作戦に組み立てる様な行為は私も賛成できませんから。」
「でも、加賀さんは・・・・。きっと私の考えを理解していないのだわ。今回のことでそれまでずっと溜まってきた私への蟠りが出てきてしまったのかもしれない・・・・。」
紀伊は目の前の艦娘をみた。以前赤城が言った言葉が記憶に
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