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魔女に乾杯!
62部分:第六十一話
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第六十一話

                 第六十一話  タロの直感
 ライゾウと二匹で華奈子の使い魔を務めるタロであるが彼は相方に比べてどうにも大人しいとよく言われている。ライゾウがとにかくよく食べ、趣味も多彩であるのに対して彼は少食で趣味は寝ることだけということにもそれがよく表われていた。
「何か同じ使い魔でもこうも違うのね」
「仕方ないよ」
 タロはこう華奈子に対して答えた。
「犬と猫の違いなんだから。当然だと思うよ」
「それでもこうまで対称的だと」
 華奈子としても戸惑うことがあるようである。
「かえってあれなのよ」
「あれって」
「対応にね、困るのよ」
「そうかなあ、楽だと思うけれど」
「全然」
 華奈子は首を横に振ってそれを否定した。
「あんたが寝てたらライゾウが起きてる、ライゾウが寝てたらあんたが起きている、だもの。あたしとしては休む暇もない程なのよ」
「気にしなくていいよ」
「そうはいかないわよ」
 流石にそれは主人としてできなかった。
「せめて一緒に動いてくれればいいんだけれど」
「御免ね。まあ御主人が大変な時は一緒に動くから」
「頼むわよ」
「うん」
 そんな話を玄関でしていた。そこに美奈子が帰って来た。
「おかえり、美奈子」
「うん」
 華奈子は美奈子に顔を向けて挨拶をする。美奈子も微笑んでそれに応えてきた。
「どうだった、今日は」
「まあまあね」
 美奈子は音楽のレッスンがない時でもいつも練習をしているのである。晴れの日は学校の裏山で、雨の日は家で。今日は晴だったので学校の裏山で練習をしていたのだ。
「歌の練習をしていたけれど」
「ふうん」
「やっぱり歌い込んでいるとね。上手くなってきたって実感があるわよね」
「まあ何でもそうだよね」
 華奈子はそれに無邪気に頷いた。
「あたしも。魔法だって練習すればできるようになったし」
「勉強だってそうよ」
「あれは勘弁」
 それを聞いただけであからさまに嫌な顔になる。
「学校の勉強だけは駄目なのよ。じんましんが出るわ」
「そんなに」
「だからね。どうしても駄目」
「まあだったら仕方ないけれど」
 美奈子はそう言いながら玄関を上がった。そして二人の部屋に向かう。
「先に部屋に行ってるわね」
「うん」
 ここでタロの前を横切る。その時タロの鼻に何か別の香りが入った。美奈子の香りとは全く別の香りだ。
「!?」
 だがそれは一瞬であった。すぐに消えた。
 しかしそれであることに気付いた。この香りが美奈子のものではないということに。タロの頭の中にある疑惑が浮かんだ。だがそれはすぐに消えた。有り得ないと思ったからだ。
(馬鹿馬鹿しい)
 それにその匂いは一瞬のことであった。間違いかも知れない。むし
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