61部分:第六十話
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第六十話
第六十話 ライゾウの催促
最近ライゾウはとみに食べまくっている。それまでは二食だったのが三食食べるようになっている。朝夕だけでなく夜食も食べているのである。
「何かお腹が空いちゃってねえ」
そう言いながらガツガツ食べる。キャットフードはすぐになくなってしまう。
「あんた最近食べ過ぎよ」
華奈子がそう注意する。だがそれでもライゾウは食べるのを止めない。
「まあいいじゃない。よく食べられるのは健康の証」
そしてまた食べる。遂にその腹は蜂のようになってしまった。
「太ってもいいの?」
「平気平気」
華奈子の言葉になぞ耳を貸さない。そしてまた食べ続ける。
いい加減食べ過ぎたので身体の動きが鈍くなってくるかと思えばそうではなかった。動き自体は全然変わりはしなかった。
「そんな体格で変ねえ」
「秘密を知りたい?」
ライゾウは華奈子にこう声をかけてきた。
「よかったら教えてやるよ」
「使い魔なのに本当に偉そうね。まあいいわ」
それでも華奈子は納得した。
「教えて。どうしてなの?」
「これも魔法なんだ」
ライゾウは答えた。
「魔法」
「そう。魔法でね、身体の動きを速くしているんだ」
彼は答えた。見れば脚の色が今までと違っていた。肉球の部分が少し黒いのである。
「ここにね、魔法をかけたんだ」
ライゾウは自分の肉球を見せながらこう言った。
「わかった?」
「そうだったの」
華奈子はとりあえずはそれに頷いた。
「だからね。幾ら食べても安心なの」
今度はこう言って自己弁護をする。
「それはどうかしら」
「というと?」
だが華奈子はそれをよしとはしなかった。そう言いながらライゾウを見やる。
「幾ら何でもそのツチノコみたいなお腹はないんじゃない?」
「ツチノコ!?」
見れば確かにそうであった。ライゾウはまるでツチノコの様に太っている。その姿を見ただけで彼がもう完全に太り過ぎなのがわかる。
「痩せなさい、術でいつも誤魔化せるとでも思ってるの?」
「大丈夫だって」
しかしライゾウは取り合おうとはしない。
「魔法でどうとでもなるから」
「ふうん、いつも魔法が使えると思ってるの!?」
「ギクッ」
そんな筈がないのも少し考えればわかることであった。ライゾウはそれを聞いて顔をギクッとさせた。つまり単なる詭弁だったのである。
「それは・・・・・・」
「じゃあ痩せなさい。食べたらその分動く」
「はい」
「そうじゃなかったら食べない。わかったわね」
「わかりました」
こうしてライゾウはまたもやダイエットに励まされることになった。夜食の分は運動することになった。
使い魔とはいえ楽はできない、彼はそれを身を以って味あわさ
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