=入試編= シセンセレクト
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入試ロボットは、実はそれほど耐久力が高くない。
これは原作でデクくんがとっくに実証済みの事実だ。といっても本当に脆いのはスピードタイプの1ポイントロボであり、他の射撃タイプとかは正直よく知らない。とりあえず入試で発射された砲弾を蹴り飛ばしてるモブがいたことを考えると必要以上に怖がる代物でもないだろう。
しかし、素手で勝てるかと言われると俺には無理だ。だって生身だもん。殴ったらもれなく俺の拳が真っ赤に腫れて助けておくれと泣き叫ぶこと請負だ。原作デク君は学園祭ロボ・インフェルノで入試の経験を糧に0Pロボの装甲板でぶっ壊していたが、あれをそのまま真似るのは無理だろう。前提として0Pロボぶっ壊さなきゃならない時点で手段と目的が倒錯している。
周囲が大乱闘俺たち人類ブラザーズをやっているさなか、わざと一歩遅れて戦いに身を投じた俺は周囲を見渡し、いい感じのロボ残骸を拾い上げた。4足歩行で大きな尻尾がついた恐竜のような2Pロボ、その尻尾の先端だ。丁度ジョイントが壊れて武器として握りやすくなっているそれを拾い上げた俺は、一度深呼吸した。
「格闘前提の構造なら強度は問題なし……リーチは短いし盾にも使えないけどその分取り回しが利くはずだ」
俺は今回の入試をクリアする方法を色々と考えたが、やはりレスキューポイントを積極的に取りにいくのは得策ではないと思った。ヒーローとはエンターテイナーとしての役割も求められる以上、戦いを避けて人命救助しているだけでは地味だ。地味ということは、注目されないからポイントが望めない。だから戦うしかない。
周囲に耳を澄ませ、敵の多い激戦区に足を運んだ俺は、腹の底に力を込めて駆け出した。
「うっらあああああああああああああああああッ!!!」
『標的捕捉!ブッ殺ス!!』
1Pロボ――狙うは脆い胴体。腕に握られた装甲を全力で踏み込みながら横薙ぎに振り抜く。ドギャアッ!!と酷い音を立てて装甲がロボにめり込み、ロボの動きが停止する。電気系統がイカれて壊れてくれたらしい。
これでやっと1ポイントだが、俺の近くにいるのを発見した将来のA組――ミスターしょうゆフェイスの瀬呂は既に得意のテープで複数の敵を絡めとっている。
「へっ、なんだコイツら戦ってみれば意外と動きがトロいじゃん!!」
余裕さえ感じさせる瀬呂は肘から次々に大きなセロテープを発射してロボを次々に拘束、行動不能に追い込んでいる。もう10ポイント以上は稼いでると見ていいだろう。流石は過酷な入試を突破するであろう猛者。体育祭ではドンマイコールこそされていたが、この男は普通に強いのだ。
(ったく、羨ましいなぁ汎用性高い個性はさぁ………だけどな、俺も負けちゃいないぜ)
この数か月、俺は既に『個性』の強化に向けて相当の訓練
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